お見積書が届いて、中身にも納得がいった。けれども予算には少し届かない。そんなとき、もう少し下げてもらえませんかと言ってよいものか、迷ってしまう方は多いものです。図々しいと思われないだろうか、気を悪くされて雑に扱われたら困る。そう考えて、言い出せないまま押印してしまう方もいらっしゃいます。
先にお伝えします。値引きの相談をすること自体は、よくあることです。嫌がられる話ではありません。ただし金額を下げてくださいと言うより、この予算に収める方法はありますかと聞くほうが、ずっと話が進みます。頼み方で変わる、というのがこの記事の中身です。
この記事は、住宅設備建材メーカーでハウスメーカーやリフォーム会社への商品提案と提案書づくりを担当している立場から書いています。金額が下がるとき、紙の裏側では何が起きているのかまでお伝えします。
直美さん 値引きをお願いしたら、気を悪くされてしまわないでしょうか。
ナビ よくあることなので大丈夫です。ただ、聞き方にこつがありますよ。
- 値引きを言い出してよいか迷う
- 図々しいと思われないか心配
- 予算に少しだけ届かない
- どう頼めばよいか分からない
- 雑に扱われたら困る
値引きの相談はしてよい

まず結論からお伝えします。お客様から値引きのご相談をいただくことは、よくあります。珍しい話でも、失礼な話でもありません。担当者の側も、そう言われることを見込んで打ち合わせに臨んでいます。言い出したせいで対応が雑になる、といったことも起きません。遠慮して黙ったまま契約してしまうほうが、もったいないと思います。
よくあることで嫌がられない
予算に届かないというご相談は、どの会社でもふつうに受けている話です。身構える必要はありません。
リフォームは、お住まいの方にとって何度もあることではありません。はじめて見る金額に戸惑うのは当たり前で、担当者もそれを分かっています。むしろ黙って持ち帰られてそのまま連絡が途絶えるより、その場で言っていただいたほうが、打つ手を一緒に考えられます。
相見積もりだと伝えたあとに会社の中で何が起きるかは相見積もりと伝えると嫌がられる?にまとめました。あわせて読んでいただくと、言いにくさがいくらか軽くなるはずです。
見積書にはすでに企業努力が入っている
ひとつ知っておいていただきたいことがあります。お手元の見積書には、すでにその会社の企業努力が入っています。
なんとかこの工事をお任せいただきたいという思いから、自社の利益を削ってでも金額を抑えてくる会社は少なくありません。定価の紙をそのまま出しているわけではない、ということです。ですから下げられる幅には、会社ごとに限りがあります。いくらでも引けるものではないとお考えください。
仕入れの条件は会社ごとに違います。そのあたりの事情はリフォームはどこに頼む?でくわしく書きました。
端数を切るような調整もある
金額の動き方は一通りではありません。端数を切るような形の値引きもあります。
仕様を何も変えずに、合計のおしりをそろえるという調整です。見積書では出精値引きという行で書かれることが多く、会社の利益から引かれています。大きく動くものではありませんが、こうした形で収まることもあります。期間で動く値引きの話はリフォームの値引きは今日決めないと消える?をご覧ください。
下がるときには順番がある

ここからがこの記事の本題です。金額を下げるとき、現場ではどこから手をつけるかの順番が決まっています。下げてほしいと言われて、やみくもに削っているわけではありません。この順番を知っておくと、どこまでお願いしてよいのかが、ご自分で見当をつけられるようになります。
まずこだわりのない部分のグレード
いちばんはじめに動くのは、お客様がこだわっていない部分の仕様です。
たとえば、どうしても譲れないのは浴室の断熱だけれど、洗面所の扉の面材はとくに希望がない。そういうときは、希望のないほうのグレードを一段落として金額を合わせます。暮らしの満足度に関わらないところから動かすので、下げたことに気づかないまま使い続けられることも多いものです。
どこにこだわりがあるかは、伝えておかないと相手には分かりません。伝え方はリフォーム要望の伝え方にまとめてあります。
次に会社の利益
それでも届かないときに動くのが、その会社の利益です。
先ほどお伝えしたとおり、見積書にはすでに企業努力が入っています。そこからさらに削るので、ここが二段目になります。削れる幅は会社の体力や仕入れの条件で変わりますから、同じお願いをしても、応じられる会社とそうでない会社が出てきます。断られたとしても、その会社が不誠実だということではありません。むしろ、無理をして受けた工事はどこかにしわ寄せが出ます。ここで止まる会社のほうが、結果として誠実な場合もあるのです。
最後に残るのが職人の手間
そして三段目です。それでも足りないとなったとき、最後に行き着くのが職人さんの手間になります。
ここは仕上がりに直結するところです。クロスの継ぎ目を押さえる、見切りをていねいに納める。そうしたひと手間が積み重なって、使い始めたあとの気持ちよさになります。大きな値引きをお願いするほど、この三段目に近づいていくとお考えください。どこまで頼むかを考えるときの目安になります。

下げるほど、三段目に近づいていきます
頼み方はこの一言

順番が分かったところで、実際の頼み方に入ります。おすすめしたい言い方はひとつだけです。この予算に収める方法はありますか。金額を下げてくださいと言うより、この聞き方のほうが具体的な案が返ってきます。いまのご提案と比べながら調整できるうえ、その中で値引きも入ってくるからです。
この予算に収める方法はありますか
この一言がよい理由は単純です。担当者が手を動かせる形の質問になっているからです。
下げてくださいとだけ言われると、返せる答えは下げられるか下げられないかの二つしかありません。ところが予算を示して方法を聞かれれば、いまの提案のどこをどう動かせば届くのかを、紙の上で組み直せます。仕様を少し落とす案と、そのままの案を並べて見せてもらえることもあります。
打ち合わせが何回あるのかはリフォームの打ち合わせは何回?に書きました。相談を切り出すのは、仕様が固まりきる前のほうが動かしやすいでしょう。
下げてよい部分は自分で決める
調整のしかたは大きく二つです。オプションをなくすか、こだわりのない部分のグレードを下げるかになります。
そして大事なのは、どちらから手をつけるかです。順番を決めるのは会社ではなく、お客様ご自身になります。下げてもよいと思える部分から順に調整していくのが基本ですから、ここだけは譲れないという一点を先に伝えておいてください。
色や面材をいつ決めるのかはリフォームの色決めはいつ?をご覧ください。お知り合いのご紹介だと優遇の仕組みが用意されていることもあり、そのあたりは知り合いに紹介されたリフォーム会社は断れる?にまとめました。
数字だけ合わせてもらわない
最後にひとつだけ、気をつけていただきたいことがあります。よその金額に無理やり合わせてもらうお願いは、おすすめしません。
仕入れの条件も、削れる幅も会社ごとに違います。そこへ数字だけを合わせてもらうと、中身が見えないまま金額だけがそろうことになってしまいます。せっかく時間をかけて集めた提案なのに、中身を見ないまま選ぶことになってしまうのは惜しいところです。
数社の紙を並べる手順はリフォーム相見積もりの取り方に、一式とだけ書かれた行の読み方はリフォーム見積書の一式とは?にまとめました。

どちらから手をつけるかを決めるのは、お客様です
リフォームの値引き交渉のよくある質問

ここまでで、相談してよいことと、頼み方をお伝えしました。残りのこまかい疑問をまとめておきます。読み終えたら、予算の数字をひとつ用意して、担当の方に伝えるだけで足ります。
どれくらい下がるのか
幅は会社ごとに違うので、ここでは申し上げられません。仕入れの条件も、削れる余地も同じではないからです。
目安の割合を期待されるかもしれませんが、根拠のない数字をお伝えするほうが害になります。よそのサイトで見かけた数字を持っていくと、その幅に届かない会社を不当に疑うことにもなりかねません。ご自宅の工事でどうなるかは、担当の方に聞いていただくのが確かです。
断られることもあるのか
あります。すでに限界まで詰めてある見積書なら、これ以上は動きません。
断られたからといって、その会社が不親切なわけではありません。むしろ、できないことをできると言わない会社のほうが、あとの工事も安心して任せられます。そのときは金額を動かすのではなく、仕様のほうを動かせないか聞いてみてください。
いつ相談すればよいのか
仕様が固まりきる前がよいでしょう。組み直せる余地が残っているからです。
商品が発注されたあとは動かしにくくなります。発注を止めて組み直すことになるので、日程にも響いてしまうからです。その区切りについてはリフォームは契約後に変更できる?に書きました。
一式の行を分ければ下がるのか
下がりません。行を分けて書き直しても、合計は変わらないものです。
行が増えるだけで、中身は同じものを並べ替えているにすぎません。内訳を聞くことと、値引きをお願いすることは別の話とお考えください。諸経費の中身はリフォーム見積書の諸経費とは?にまとめてあります。
別途の行を外せば下がるのか
その行のぶんは下がります。別途はもともと工事の範囲の外なので、頼まなければ合計に乗りません。
ただし必要なものを外すと、あとでご自分で手配することになります。手間と、不具合が出たときの連絡先が分かれることまで含めて考えてください。くわしくはリフォーム見積書の別途とは?をご覧ください。
値引きは聞き方しだい

値引きの相談は、よくあることで嫌がられません。ただし見積書にはすでに企業努力が入っていて、下げられる幅には会社ごとに限りがあります。端数を切るような調整もありますが、大きく動くものではありません。
金額が下がるときには順番があります。こだわりのない部分のグレード、会社の利益、そして職人の手間。大きな値引きを求めるほど三段目に近づいていきますから、どこまで頼むかの目安にしてください。
使う一言はこれだけです。この予算に収める方法はありますか。調整のしかたはオプションをなくすか、グレードを下げるかの二つで、どちらから手をつけるかを決めるのはお客様ご自身です。よその金額に無理やり合わせてもらうのは、やめておきましょう。
- 値引きの相談はよくあること
- 見積書には企業努力が入っている
- 下げられる幅には限りがある
- 端数を切るような調整もある
- 一段目はこだわりのない部分
- 二段目は会社の利益
- 三段目に残るのが職人の手間
- 聞くのは予算に収める方法
- 下げてよい部分は自分で決める
- 数字だけ合わせてもらわない
そろそろ具体的に、と思い始めた方は、まず何社かのお見積もりを並べるところからです。紙の期限の考え方は見積書の有効期限は?に、見積もりそのものの費用はリフォームの見積もりは無料?にまとめてあります。
お支払いの時期はリフォームの支払いはいつ?が、契約の紙で見るところはリフォームの契約書はどこを見る?が参考になるでしょう。


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