打ち合わせが進んで、いよいよ契約の日。目の前に紙の束が置かれて、担当の方が順にページをめくっていく。説明を聞いてはいるけれど、どこを見ればよいのか分からないまま、気づいたら押印する流れになっていた。リフォームの契約書は一生に何度も見るものではないので、戸惑って当たり前の書類です。
先にお伝えします。お施主様に目を通していただきたいのは、工期の欄と金額の欄の二つだけです。その場ですべてを読み切れなくても、この二つさえ確かめておけば困ることはありません。
この記事は、住宅設備建材メーカーでハウスメーカーやリフォーム会社への商品提案と提案書づくりを担当している立場から書いています。あわせてお伝えしたいのが、契約書を交わさない工事もあるということ。意外に思われるかもしれませんが、これもおかしなことではありません。順に見ていきましょう。
直美さん 契約書を渡されても、どこを読めばよいのか分かりません。あの場で全部に目を通すものなのでしょうか。
ナビ 工期と金額の二つで大丈夫です。その場で押さずに持ち帰っていただいてもかまいませんよ。
- 契約書のどこを見ればよいか分からない
- その場で押印を求められそう
- 約款が難しそうで読む気になれない
- 金額が見積もりと違っていないか不安
- 契約書をもらえるのか分からない
契約書で見るのは工期と金額

契約書には難しそうな言葉がたくさん並んでいます。けれども、お施主様に確かめていただきたいところは多くありません。見るのは工期の欄と金額の欄の二つです。ここに何が書かれていて、どう確かめればよいのかを順にお伝えします。
工期の欄に入る着工日と完了日
契約書の上のほうには、工事の名前と場所、そして工期と金額が並びます。この工期の欄には、着工日と完了日の日付が入ります。契約の時点で未定のまま空いていることはありません。その完了日のあとには、仕上がりを一緒に見る場が設けられます。当日に何を見るのかはリフォームの完了検査は何を見る?にまとめました。
ここを見ていただきたいのは、ご家族の予定と重なっていないかを確かめるためです。お風呂やキッチンが使えない日が出てくるので、旅行やお子さんの行事と重なると困ってしまいます。この着工日がいつになるかは、頼む時期によっても変わります。くわしくはリフォームを頼む時期はいつがいい?をご覧ください。
工事の最中の暮らし方はリフォームは住みながらできる?にまとめました。何日くらい水回りが止まるのかを先に知っておくと、日付を見たときの判断がしやすくなります。
金額は最終の見積もりと同じ
もう一つの金額の欄は、最終の見積書が出ていれば同じ額になるはずのところです。打ち合わせを重ねて仕様が決まり、その内容で出た見積もりがそのまま契約書に載ります。
ですから手元の見積書と、契約書の金額を並べて見比べてください。数字が合っていれば、そこで立ち止まる必要はありません。合っていなければ、その場で理由をたずねましょう。
見積書そのものの読み方はリフォーム見積書の見方でくわしく書いています。契約の日までに一度目を通しておくと、数字の意味がつかみやすくなるでしょう。

確かめていただきたいのはこの二つの欄です。数字と日付だけ見れば足ります
約款はそれほど長くない
契約書には約款という紙が一緒に付いてきます。工期が延びたときの扱いや、途中でやめるときの取り決めが書かれたものです。分量はそれほど多くありませんので、身構えなくて大丈夫です。
その場で読み込まなくてもかまいませんが、渡されているかどうかだけは確かめておきましょう。あとで疑問が出たときに、立ち返る先があるのとないのとでは心持ちが違います。
約款が付いているかどうかは、会社を見るときの手がかりにもなります。そのあたりの考え方はリフォーム会社の選び方にまとめました。
契約書を交わさない工事もある

ここからは、ほかではあまり書かれていない話をします。リフォームには契約書を交わさずに進む工事があります。これは手抜きでも手続きの省略でもなく、工事の大きさによって決まるものです。
商品を入れ替えるだけの工事
たとえば加熱機器をガスからIHに替える、食洗機を入れ替える、レンジフードを新しくする、給湯器を交換する。こうした商品の入れ替えだけで終わる小さな工事は、リフォームではとても多いものです。
壁を壊すわけでも、何日もかけて何人もの職人さんが入るわけでもありません。商品を外して、新しいものを取り付けて、その日のうちに終わる。それくらいの規模の工事になります。
食洗機を入れ替えるときの流れは食洗機だけ交換できる?にまとめました。どのくらいの工事なのかが具体的につかめると思います。
見積書と請求書だけで進むとき
そうした工事では、見積書と請求書だけで終わる簡易的な進め方になることがあります。見積もりをいただいて、よろしくお願いしますと返事をして、工事が済んだら請求書が届く。この流れです。
契約書の束が出てこないので、不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。けれども見積書には商品の品番も工事の内容も金額も書かれています。そこが決まっていれば、話が食い違う心配はほとんどありません。
だからこそ、見積書の中身をきちんと見ておくことが大切になります。概算見積もりは出せる?もあわせてご覧ください。
工事の大きさで変わるだけ
ここで強くお伝えしたいことがあります。契約書が出てこない会社が怪しいわけではありません。工事の大きさによって、交わす書類が変わるというだけの話です。
お風呂やキッチンを丸ごと入れ替える、何日もかけて壁や床まで触るといった工事なら、契約書も約款も図面も工程表も揃って出てきます。逆に機器を一つ替えるだけの工事で分厚い束が出てくることは、まずありません。
ご自分の工事がどちらに当たるのかが分かれば、書類の量に戸惑わずに済みます。心配なときは「今回は契約書を交わしますか」と先にたずねておくとよいでしょう。見積もりをお願いする段階で聞いておけば、当日どんな紙が出てくるのかを思い描いたうえで席につけます。

どちらが良い悪いではありません。工事の大きさで書類の数が変わります
押印の前にできること

契約書が出てきたとき、その場で押印しなければいけない決まりはありません。持ち帰って読んでから返すことができます。知っておくと気持ちが楽になる三つのことを、ここでお伝えします。
その場で押さず持ち帰る
まず知っておいていただきたいのが、その場で押印せずに持ち帰ってよいということ。実際、ご主人が不在なので記入はあとほどに、という方もいらっしゃいます。
急かされているように感じたとしても、「家で読んでからお返しします」と伝えて差し支えありません。嫌がられるような申し出ではないので、遠慮はいりません。
できればご夫婦おふたりで目を通しておきたいところです。あとから「聞いた、聞いていない」になりにくくなります。打ち合わせは何回?でも同じことを書きました。
二通のうち一通は手元に残る
契約書は二通つくられて、一通がお客様のものになります。会社に預けたまま手元に何も残らない、ということはありません。
手元の一通は、工事が終わったあとも取っておいてください。不具合が出たときに、いつどんな工事をしたのかをさかのぼれる手がかりになります。
保証書や取扱説明書も引き渡しのときに一式で渡されます。まとめて一か所に置いておきましょう。何がどこまで守られるのかはリフォームの保証は何年?でくわしく書いています。
収入印紙はそれぞれが貼る
契約書には収入印紙を貼ります。これはお互いにそれぞれの一通へ貼るもので、費用もそれぞれが持ちます。片方がまとめて負担するものではありません。
当日になって慌てないよう、印紙が要るかどうかを先に聞いておくと安心です。用意の仕方も含めて、担当の方が教えてくれます。
お金の受け渡しの時期も、このときに確かめておきたいところ。いつ何回に分けて払うのかはリフォームの支払いはいつ?にまとめました。
リフォームの契約書のよくある質問

ここまででお伝えしきれなかった細かいところを、よくいただくご質問の形でまとめました。気になる項目だけ読んでいただいてかまいません。
一緒に渡される書類
大きな工事では、工事請負契約書と約款のほかに、見積書、図面、仕様書、工程表が一式で渡されます。紙ごとに作った人が違うので、見るところもそれぞれ変わってきます。
どの紙をどう見ればよいのかはリフォームの提案書はどこを見る?でくわしく書きました。契約の日までに読んでおくと、束を前にしても落ち着いていられます。
押印したあとの変更
契約したら何も変えられない、ということはありません。区切りになるのは契約した日ではなく、商品が発注された日です。発注の前であれば、変更にかかる費用は出ません。
くわしくはリフォームは契約後に変更できる?をご覧ください。壁紙や床の色を決めるのも、契約のあとの打ち合わせになります。
ご主人が不在のとき
その日のうちに書き上げる必要はありません。記入はあとほどに、という形で進めることもできます。ご家族でそろって確かめてから返せば十分です。
ただ、工事の内容を決める打ち合わせには、できるだけおふたりで入っておきたいところ。決めたことの食い違いが、あとあと響いてくるためです。難しければ、帰ってから契約書の工期と金額の欄だけでも一緒に見てみてください。
金額が見積もりと違うとき
最終の見積もりが出ているなら、契約書の金額は同じになるはずです。違っていれば、押印する前に理由をたずねてください。分からないまま先へ進めないことが何より大事です。
工事の途中で金額が動く場面もあります。何が起きると増えるのかはリフォームの追加費用にまとめました。
契約を急かされたとき
見積書に書かれた有効期限は、切れても出し直してもらえるものです。期限を理由に今日中の返事を求められたとしても、あわてて押印する必要はありません。
期限の考え方は見積書の有効期限は?に、お断りの言い方はしつこい営業を断る言い方にまとめてあります。
見るのは工期と金額の二つ

リフォームの契約書で確かめていただきたいのは、工期の欄と金額の欄の二つです。工期には着工日と完了日の日付が入り、金額は最終の見積もりと同じ額になります。約款もそれほど長くないので、身構えずに受け取ってください。
そして、契約書を交わさない工事もあります。機器を一つ入れ替えるような小さな工事なら、見積書と請求書だけで進むことも多いもの。書類が少ないからといって心配はいりません。工事の大きさで変わるというだけの話です。
最後にもう一度お伝えします。その場で押印しなくてかまいません。持ち帰って、ご家族で工期と金額を確かめてからお返しください。急かされていると感じたときほど、一度持ち帰る価値があります。
- 見るのは工期と金額の二つ
- 工期には着工日と完了日が入る
- 金額は最終の見積もりと同じ
- 約款はそれほど長くない
- 小さな工事は契約書がないこともある
- その場で押さず持ち帰ってよい
- 契約書は二通で一通は手元に残る
そろそろ具体的に、と思い始めた方は、まず複数の会社の見積もりを並べるところからです。相見積もりの取り方もあわせてご覧ください。
先に要望を整理しておきたいときはリフォーム要望の伝え方が、当日の下見の中身を知りたいときはリフォームの現地調査は何を見る?が参考になります。


コメント