リフォームは何社か比べたほうがいい。そう聞いてはいるものの、何社に頼めばよいのか、断るときに気まずくならないか、そもそも同じ条件で頼めているのかが分からない。相見積もりという言葉は知っていても、実際の進め方までは誰も教えてくれません。
ここで一つお伝えしておきたいことがあります。相見積もりは、いちばん安い会社を探すための作業ではありません。同じ工事を頼んだときに、会社によって何がどう違うのかを目に見える形にするための作業です。そう考えると、集め方も比べ方も変わってきます。
この記事では、住宅設備建材メーカーでハウスメーカーやリフォーム会社への商品提案と提案書づくりを担当している立場から、相見積もりの頼み方と比べ方、そして角の立たない断り方までを順にお伝えします。特定の会社を勧めることはいたしません。
直美さん 3社にお願いしたら金額がバラバラで、かえって分からなくなりました。いちばん安い会社でいいのでしょうか。
ナビ 合計金額の前に、数量の欄を見比べてみてください。同じ工事のつもりでも、会社によって拾っている量が違うことがよくあります。
- 何社に頼めばよいか迷う
- 同じ条件で頼めているか不安
- 金額の差の理由が分からない
- 一式ばかりで中身が読めない
- 断るときに気まずくなりそう
相見積もりで失敗しない3つの手順

結論からお伝えします。相見積もりの成否は、見積書が届いてからではなく頼む前の準備でほとんど決まります。集め方がそろっていない見積書は、どれだけ時間をかけて眺めても比べられないからです。まずは、依頼する社数と伝える条件、そして期限。この3つを先に決めてしまいましょう。
依頼するのは3社まで
多いほど有利に思えますが、3社でじゅうぶんです。4社5社と増やすと、現地調査の立ち会いだけで何日もかかり、届いた見積書を読み比べる気力のほうが先に尽きてしまいます。比べきれない資料は、持っていないのと同じことになりかねません。
大切なのは数より顔ぶれです。地元の工務店、水回りを得意とするリフォーム専門店、住宅設備の入れ替えを数多く手がけている会社。このように毛色の違う3社をそろえると、考え方の差がはっきり出ます。同じタイプの会社ばかり集めても、似た提案が3つ並ぶだけでしょう。
とはいえ、毛色の違う会社を自分で3つ探すのは骨が折れます。一括見積もりのサービスは、その手間を短くする手段として便利です。自分で見つけた1社に、こうしたサービスで見つけた2社を足す。そんな組み合わせでも構いません。
同じ条件をそろえて頼む
条件がずれた見積書は、並べても比べられません。全社に同じことを伝えるのが鉄則です。直したい場所、いま困っていること、いつ頃やりたいか、そして絶対に譲れない点。この4つを紙に書いておき、同じ紙を見ながら話すと漏れがなくなります。
商品をすでに決めている場合は、グレードまで伝えてください。まだ決めていない場合は、おすすめを2案か3案出してくださいと頼むとよいでしょう。何を勧めてくるかに、その会社の考え方がはっきり表れます。
- 直したい場所と範囲
- いま困っていること
- 工事をしたい時期
- 譲れない点と予算の考え方
ご家族で意見が分かれている場合は、分かれていること自体を伝えてしまって構いません。むしろ、そこを整理する案を出してくれる会社かどうかが分かります。迷いを隠したまま進めると、打ち合わせの終盤でやり直しになりがちです。
期限を切って同時に頼む
3社への依頼は、できるだけ同じ時期に出してください。1社ずつ順番に進めると、最初の会社の提案を聞いたことで自分の希望が変わり、条件がそろわなくなります。そうなると、最初の見積書だけ前提の違うものが混ざることになるのです。
あわせて、いつまでに欲しいかを必ず伝えます。2週間後までにお願いします、と言い添えるだけでかまいません。この期限を守れるかどうかは、そのまま工事中の連絡の速さにつながっていきます。遅れるときに一報を入れてくれるかどうかも見ておきましょう。
現地調査の日程も近い日にまとめると、説明する内容がぶれません。同じ日の午前と午後に2社を入れる方もいらっしゃいます。立ち会いの負担を考えると、そのくらい詰めてしまうほうが結局は楽になるでしょう。

見積書がそろったあとの比べ方

3社分の見積書が届いたら、いよいよ比べる作業です。ここでやってはいけないのが、いきなり合計金額を見ることになります。合計はいちばん最後に見る数字です。先に見るべき場所が、その手前にいくつもあるからです。
金額より先に数量を見る
最初に開いてほしいのは、品名の横にある数量の欄です。同じ工事に見えても、会社によって拾っている数量は違います。壁の面積、処分する廃材の量、床や通路を保護する養生の範囲。ここがそろっていなければ、金額が違うのは当たり前なのです。
数量が少なめの会社は、当然ながら安く見えます。けれども工事が始まってから足りないことが分かり、追加の相談になる場合もあります。逆に多めの会社は、余裕をみている丁寧な会社かもしれません。どちらが正しいかではなく、なぜ違うのかを聞くことが大切になります。
私が仕事で複数の提案書を見比べるときも、最初に目を通すのは数量の欄です。金額の大小より、そこに書かれた数字のほうが多くを語ってくれます。読み方そのものはリフォーム見積書の見方でくわしく解説しました。
一式表記の中身を聞く
一式という表記を見ると、それだけで身構えてしまう方がいます。ただ、一式そのものは手抜きの印ではありません。細かく分けすぎるとかえって読みにくくなるため、意図してまとめている会社もあるからです。
見るべきなのは表記そのものではなく、中身を聞いたときの答え方になります。その場ですらすらと内訳を説明できる会社は、社内にきちんと積算の根拠を持っています。あとで調べますと言ったきり返事が来ない会社とは、そこが決定的に違うところです。
- この一式には何が入りますか
- 入っていないものはどれですか
- 内訳の紙をいただけますか
聞いたときに面倒そうな顔をされたら、その反応も判断材料にしてください。契約前でこの調子なら、工事が始まって追加費用の話が出たときも、似た対応になることが少なくありません。
同じ土俵に並べ直す
3社の書式はそろっていません。ですから、面倒でも1枚の紙に書き写して並べ直してください。左に工事の項目を縦に並べ、右へ3社分の金額を書いていく。それだけで、どこが多くてどこが少ないかが見えてきます。
このとき本当に探してほしいのは、金額の差ではありません。ある会社にだけ書かれていない項目です。廃材の処分、養生、既存設備の撤去、電気や給排水の工事。こうした項目が抜けている見積書は、安いのではなく、まだ全部が乗っていないだけということがあります。
そこまでそろえたうえで、それでも残る差があるはずです。その差こそが、会社ごとの考え方の違いになります。工事の手間を厚くみる会社もあれば、段取りの工夫で抑えている会社もあるでしょう。

角が立たない頼み方と断り方

相見積もりをためらう理由の多くは、金額ではなく気持ちの問題です。比べていると知られたら感じが悪いのではないか、断るときに気まずくならないか。そこが心配で一歩が出ない方に向けて、最初にひと言だけ伝えておくやり方をお話しします。
最初に相見積もりと伝える
隠す必要はありません。最初に伝えたほうが、かえって丁寧な提案が出てきます。比べられると分かっていれば、会社は自分の強みが伝わるように内容を組み立てるからです。黙って後から知られるより、良い関係で進みます。
伝え方は簡単です。何社かにお話を聞いて決めたいと思っています。この一文を最初の電話や問い合わせフォームに入れておくだけでかまいません。嫌がる会社はまずないので、身構えずに書いてみてください。
何社と比べているか聞かれたら、社数だけ答えれば十分です。他社の金額は伝えないでおきましょう。そこに合わせた値引きの話になり、肝心の中身を比べられなくなるためです。伝えたあと会社で起きていることは相見積もりと伝えると嫌がられる?にまとめました。
決めたあとの連絡は早く
依頼先が決まったら、ほかの会社にはできるだけ早く連絡してください。見積書を出した会社は、その工事のために職人の手配や資材の段取りを頭に入れて待っています。早く伝えるほど角は立ちません。
連絡はメールでも失礼にあたりません。電話でなければ不誠実だと考える必要はなく、文章のほうが記録にも残ります。返事をしないまま放っておくことだけは避けたいところです。
時間が経つほど連絡しづらくなり、結局そのままになってしまいがちです。決めた日のうちに短い文面を送る。それだけで、次にご縁があったときの印象がまるで変わってきます。
断り方は一文でよい
断る文面に、長い説明はいりません。検討の結果、今回は他社にお願いすることにしました。お時間をいただきありがとうございました。この二文で十分です。
- 検討の結果 今回は見送ります
- 他社にお願いすることにしました
- お時間をいただき感謝しています
理由を細かく伝えるのは、かえって長引くもとになります。金額が高かったからと言えば、では値引きしますという再提案が返ってくるでしょう。悪気があるわけではなく、そこが営業の仕事だからです。
それでも連絡が続くようなら、断り方そのものを変える必要があります。言い回しの具体例は営業を断る言い方7選にまとめましたので、あわせてご覧ください。
相見積もりによくある質問

ここからは、相見積もりで寄せられることの多い疑問をまとめました。人には聞きにくい内容もあるかと思います。気になる項目だけ読んでいただいてかまいません。
何社に頼むのが適切か
3社が目安になります。2社では、どちらかが極端だったときに気づけません。4社を超えると、比べる作業そのものが重くなり、途中で投げ出してしまいがちです。迷ったら3社と覚えておいてください。
相見積もりは失礼にあたるか
失礼にはあたりません。リフォームの業界では、複数社から見積もりを取るのは当たり前の進め方として受け止められています。嫌がる会社があるとすれば、比べられると困る事情があるのかもしれません。
同じ商品でそろえるべきか
商品を決めているなら、そろえたほうが比べやすくなります。まだ決めていないなら、各社のおすすめを出してもらうほうが有益でしょう。何を勧め、なぜそれを選んだのかという説明に、その会社の力量が出ます。
見積もりに費用はかかるか
小規模な戸建て・マンションのリフォームなら、現地調査から見積書の作成までは基本的に無料です。断っても費用はかかりません。無料になる範囲はリフォームの見積もりは無料?をご覧ください。
金額が大きく違うときの見方
まず疑うべきは、含まれている工事の範囲です。安いほうに何かが抜けているか、高いほうに何かが足されているか。多くはそのどちらかになります。値引きの交渉より先に、項目の抜けを探してみてください。
まとめ

相見積もりは、安い会社を探す作業ではありません。同じ工事を頼んだときに何が違うのかを、自分の目で見えるようにする作業です。毛色の違う3社に、同じ条件と同じ期限で頼む。そこまでできれば、半分は終わったようなものでしょう。
- 依頼は毛色の違う3社まで
- 全社に同じ条件を伝える
- 期限を切って同時に頼む
- 合計金額は最後に見る
- 数量の欄から読み始める
- 一式は答え方で見分ける
- 抜けている項目を探す
- 相見積もりは最初に伝える
- 断りの連絡は早く短く
そして、最後に残るのは金額ではなく人です。同じ工事でも、聞いたことにきちんと答えてくれる担当者がいるかどうかで、工事中の安心感はまるで変わります。並べた3社を思い出しながら、話しやすかった会社はどこだったかも思い返してみてください。
会社そのものの見分け方はリフォーム会社の選び方に、設備の仕様をどう比べるかはお風呂リフォームの選び方にまとめています。あわせて読んでいただくと、判断の軸がそろってくるはずです。


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