届いた見積書を上から読んでいくと、数量の欄に一式とだけ書かれた行が出てきます。何がいくつ入っているのかが書かれていないので、その一行だけ中身が見えません。金額は入っているのに、何に対するお金なのかが読み取れない。そこで手が止まってしまう方は多いものです。
先にお伝えします。一式はこまかい部材をまとめて書いた行で、手を抜いた書き方ではありません。そして分けて書き直してもらっても、合計の金額は変わりません。ですから中身は、遠慮なく聞いていただいて差し支えないものです。
この記事は、住宅設備建材メーカーでハウスメーカーやリフォーム会社への商品提案と提案書づくりを担当している立場から書いています。なぜ一式という書き方になるのか、その仕組みのところからお伝えしていきます。
直美さん 一式とだけ書かれた行は、中身を聞いてもいいのでしょうか。
ナビ 聞いて差し支えありません。分けて書いても合計は変わりませんよ。
- 一式の行の中身が分からない
- 何が入っているのか読めない
- 聞いてよいものか迷う
- 他社の紙と見比べられない
- 金額が動くのか心配
一式は面積から試算した行

まず結論からお伝えします。一式という書き方になるのは、こまかい部材が多すぎて、ひとつずつ書き出すのが現実的ではないからです。壁の材料、床の材料、取り付けに使う部品。ひとつの工事でも、数を数えはじめると行が何十も並んでしまいます。そこで、この面積ならこれくらいの材料が必要という試算をもとに、まとめて一行にしている会社が少なくありません。
こまかい部材をまとめた一行
一式の行には、数量の代わりに一式という言葉が入ります。数えていないのではなく、数えたうえでまとめてあるとお考えください。平米やメーターといったほかの単位の読み方はリフォーム見積書の数量と単位の見方にまとめました。
工務店や工事店は、これまでの現場の積み重ねから、この広さならこの材料がどれくらい要るかという目安を持っています。その目安にあてはめて金額を出し、紙の上では一行に収めているわけです。だから一式の行が並んでいても、中で計算がされていないということにはなりません。
見積書そのものの読む順番はリフォーム見積書の見方にまとめてあります。あわせて目を通していただくと、一式の行がどのあたりに出てくるかも見当がつくでしょう。
一式になりやすい三つの行
どの行でも一式になるわけではありません。まとめられやすいのは施工費と現場管理費、それに諸経費の三つです。
いずれも、物ではなく手間と段取りにかかるお金になります。数で数えられるものではないので、一行にまとまるのが自然な場所だとお考えいただければ十分です。諸経費そのものの中身はリフォーム見積書の諸経費とは?でくわしく書きました。
逆に、商品そのものの行は品番まで書かれるのがふつうです。同じ一式でも、物の一式と手間の一式では確かめ方が変わってきます。
分けて書いても合計は同じ
ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。一式の行を分けて書き直してもらっても、合計の金額は変わりません。
行が増えると金額も増えるのではないか、と心配になるかもしれません。けれども増えるのは行の数だけで、中身は同じものを並べ替えているにすぎないのです。ですから内訳をお願いすることが、金額を押し上げる心配にはつながりません。

たくさんの部材が、紙の上では一行になります
中身は聞いて差し支えない

一式の行の中身をたずねる方は、実はそれほど多くありません。聞いてはいけないものだと思われているのか、言い出しにくいと感じる方が多いようです。ただ、聞かれて困る質問ではありません。分からないところがあれば、その場でリフォーム店に確かめていただいて差し支えないものです。どこまで答えてもらえるのかも含めて、順に見ていきましょう。
この一式には何が入っていますか
聞き方は簡単です。この一式には何が入っていますか。この一言で足ります。
言葉を選ぶ必要はありません。値段を下げてほしいという話ではなく、紙に書いていないところを教えてくださいというお願いですから、身構えずに口に出していただいて大丈夫でしょう。
聞く順番としては、金額の大きい行からで構いません。小さな行まで全部をたどるより、大きいところをひとつ押さえるほうが、紙ぜんたいの見通しがよくなります。
原価は出てこないが目安は出る
ひとつだけ、出てこないものがあります。仕入れの原価は出せません。これはどの会社でも同じです。
その代わり、一式で出しているリフォーム店には社内で決まった目安がありますから、どんなものが入っているのかという中身は、ある程度まで教えてもらえます。欲しいのは原価ではなく、この一行が何を引き受けているのかという範囲のはずです。そこまで分かれば、紙は十分に読めるようになります。
答えが返ってこないときは、工事の範囲そのものがまだ固まっていないのかもしれません。範囲の外に置かれた行の読み方はリフォーム見積書の別途とは?にまとめました。
商品の一式は品番の一覧がある
システムバス一式、キッチン一式といった商品の行には、部材の品番の一覧がメーカーから出ています。
ですから、お願いすれば紙で見せてもらえるものだとお考えください。扉の色や水栓の形まで細かく並んでいるので、打ち合わせで決めたとおりの仕様になっているかを、ご自分の目で確かめられます。色や面材を決める段取りはリフォームの色決めはいつ?をご覧ください。
提案書と見積書で仕様がそろっているかという見方はリフォームの提案書はどこを見る?にも書いてあります。品番の一覧は、その突き合わせにそのまま使えるものです。
金額が動くのは面積が変わるとき

一式の行は面積をもとに試算されています。ということは、動くのは面積が変わったときだということになります。ここが分かっていると、あとから金額が変わったときにも理由が読めるようになるでしょう。数社の紙を並べたときの差も、同じところから説明がつきます。この章では、その二つを順にお伝えします。
面積が増えればその分の増減
解体してみて、思っていたより張り替える面積が広かった。こうしたときは、その広くなった分だけ金額が増減します。
一式だからいくらでも足せる、という話ではないのです。もとになっている試算が面積ですから、面積が動けばその分だけ動く。逆に言えば、面積が変わらなければ一式の行も動きません。工事の途中で出てくるお金の話はリフォームの追加費用にまとめてあります。
現地を見てもらう前の段階なら、面積そのものがまだ確からしくありません。その時期の紙の性格についてはリフォームの概算見積もりは出せる?とリフォームの現地調査は何を見る?が参考になります。
数社で金額が違うのは範囲の差
同じ工事をお願いしたのに、会社によって一式の金額が違う。これはよくあることで、多くは仕様の差ではなく、その一式に入れている範囲の差です。
安く見えた紙が、単にそこまで含んでいなかっただけ、ということは珍しくありません。だから比べるときは、合計の数字より先に、それぞれの一式がどこまでを引き受けているのかを見ていただきたいのです。数社に頼むときの進め方はリフォーム相見積もりの取り方に書いてあります。
相見積もりだと伝えること自体をためらう方もいらっしゃいます。伝えたあとに何が起きるのかは相見積もりと伝えると嫌がられる?をお読みください。
すべてが一式の紙は比べようがない
ひとつだけ、困る形があります。すべての行が一式で出てきた見積書です。
この形だと、どこまで含むのかを紙の上から読み取れません。内訳を出してもらえるか聞いてみて、それでも同じ形で返ってくるようなら、ほかの会社にも声をかけてみるのがよいでしょう。会社の見分け方そのものはリフォーム会社の選び方にまとめてあります。

行が増えても、いちばん下の合計はそろいます
リフォーム見積書の一式のよくある質問

ここまでで、一式の成り立ちと聞き方をお伝えしました。残りのこまかい疑問をまとめておきます。読み終えたら、気になる行をひとつ選んで聞いてみるだけで足ります。
一式が多い見積書は危ないか
数の多さだけで決まるものではありません。こまかい部材をまとめるのは、もともと合理的な書き方です。
見ていただきたいのは数ではなく、中身を聞いたときに答えが返ってくるかどうかのほうです。すらすらと中身が出てくるようなら、現場を分かったうえで数量を拾っている紙だとお考えください。
内訳はどこまで出してもらえるか
原価は出てきません。ただ、社内の目安にもとづいた中身なら、ある程度まで教えてもらえます。
何が入っているのかという範囲が分かれば、紙を読むには足ります。原価が出てこないのは、どの会社でも同じ決まりごとだとお考えください。
分けてもらうと金額は上がるか
上がりません。分けて書いても合計は変わらないとお考えください。
変わるのは行の数だけです。頼んだこと自体が値引きの交渉だと受け取られることもないので、金額が動く心配は要りません。値引きそのものの相談のしかたはリフォームの値引き交渉はしていい?でくわしく書いています。
メーカーの見積書にも一式はあるか
あまり出てきません。メーカーが出す商品の見積書では、一式という書き方をほとんど使わないからです。
部材の品番が並ぶ形になります。メーカーの紙と工事の紙がどうつながるかはリフォームのショールームは営業される?をご覧ください。
中身を聞く人は多いか
そんなに多くはありません。けれども聞かれて困る質問ではないので、気になったら確かめて大丈夫です。
要望を伝えるときの言い方はリフォーム要望の伝え方にもまとめました。
一式は聞けば開く行

一式は、こまかい部材をまとめて書いた行でした。この面積ならこれくらいという試算がもとになっていて、まとめられやすいのは施工費と現場管理費、それに諸経費の三つです。数えていないのではなく、数えたうえで一行に収めてあります。
そして、分けて書き直しても合計は変わりません。金額が動くのは面積が変わったときだけですから、内訳をお願いすることで損をする心配は要らないのです。数社で金額が違うときも、多くは仕様の差ではなく範囲の差になります。
紙の上で使う一言は、これだけです。この一式には何が入っていますか。原価までは出てきませんが、何を引き受けている行なのかは教えてもらえます。聞く方はそれほど多くありませんが、聞いて困られる質問ではありません。
- 一式はこまかい部材をまとめた行
- もとになるのは面積からの試算
- 施工費と現場管理費と諸経費
- 分けて書いても合計は同じ
- 動くのは面積が変わったとき
- 数社の差は範囲の差が多い
- 原価は出ないが中身は出る
- 商品の一式は品番の一覧がある
- 聞く一言は何が入っていますか
そろそろ具体的に、と思い始めた方は、まず何社かのお見積もりを並べるところからです。紙に期限が書いてあったときの考え方は見積書の有効期限は?に、今日決めてと言われたときの受け止め方はリフォームの値引きは今日決めないと消える?をご覧ください。
見積もりそのものの費用はリフォームの見積もりは無料?に、お支払いの時期はリフォームの支払いはいつ?にまとめてあります。契約の紙で見るところはリフォームの契約書はどこを見る?が参考になるでしょう。


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