お風呂の打ち合わせで、扉の話になった。いまは折れ戸だけれど、開き戸や引き戸にもできるらしい。でも何がどう違うのか分からないまま、気づいたら話が次へ進んでいた。浴室の扉は、選べることすら知らないまま決まってしまいがちなところです。
先にお伝えします。扉は折れ戸、開き戸、引き戸の三つから選べて、どれを選んでも工事の内容も日数も変わりません。変わるのは掃除の手間と、毎日の開け閉めの感じ方です。
この記事は、住宅設備建材メーカーでハウスメーカーやリフォーム会社への商品提案と提案書づくりを担当している立場から書いています。各メーカーとも標準は折れ戸なので、ほかの扉がよければ先に伝える必要があります。三つの違いと、選べる条件を順にお伝えします。
直美さん 浴室の扉って、どれを選んでもたいして変わらないのでしょうか。違いが分からなくて困っています。
ナビ 工事も日数も変わりません。変わるのは掃除の手間と開け閉めです。そこだけ見れば決められますよ。
- 扉の種類が選べるのか分からない
- 折れ戸の溝の掃除がしにくい
- 開き戸は中が狭くなりそう
- 引き戸は値段が上がりそう
- 打ち合わせで聞きそびれた
浴室の扉は三つから選ぶ

浴室の扉は、お風呂に付いてくるものだと思われがちです。けれども扉は選べます。しかも選び直したからといって、工事が大がかりになるわけではありません。まずは何が選べるのか、そして選んでも変わらないことは何かを押さえておきましょう。
選べるのは折れ戸と開き戸と引き戸
ユニットバスの扉は、大きく分けて折れ戸、開き戸、引き戸の三つです。折れ戸は二枚の板が中ほどで折れて開くもので、いまお住まいの浴室がこの形という方がいちばん多いでしょう。
開き戸は一枚の板が浴室の内側へ回って開くもの。引き戸は横へ滑らせて開けるものです。どれも入口の大きさに合わせて作られるので、見た目の仕上がりが大きく変わることはありません。
お風呂そのものの選び方はお風呂リフォームの選び方にまとめました。扉はその中の一項目にすぎませんが、毎日さわる場所なので後回しにしないでください。

三つとも入口を上から見たところです。開き方が違うだけで工事は変わりません
引き戸には二枚と三枚がある
引き戸と一口にいっても、いくつか形があります。ふつうの引き戸のほかに、二枚引き戸と三枚引き戸というものがあり、こちらは開いたときの口を広く取れるのが持ち味です。
枚数が増えるほど、一枚あたりの板が細くなります。その細い板が重なって片側へ寄るので、開けたときに通れる幅が広くなるという仕組みです。
ただし、どのお宅でも選べるわけではありません。入口の大きさと、扉が左右どちら側に付くかによって選べないことがあります。この条件はあとの見出しでくわしくお伝えします。
どれを選んでも工事は同じ
ここがいちばんお伝えしたいところです。扉の種類を変えても、工事の内容も日数も変わりません。ユニットバスは浴室ぜんたいを組み立てるものなので、扉はその一部として一緒に組まれます。
ですから引き戸にしたから壁を壊すことになる、といった話にはなりません。入れ替えだけなら1日か2日で終わるという日数も、扉の種類では動かないのです。
工事の日数と、その間の暮らし方はリフォームは住みながらできる?をご覧ください。お風呂が止まる日数の目安もまとめてあります。
扉で変わるのは掃除と開け閉め

工事が変わらないなら、何を手がかりに選べばよいのか。見るところは二つです。掃除の手間と、毎日の開け閉め。この二つは扉の作りによってはっきり違ってきます。出入りのときにつかまる場所が気になる方は、浴室の手すりは後から付けられる?もあわせてご覧ください。三つの扉を順に見ていきましょう。
折れ戸は部品が多い
折れ戸は板が折れる分、つなぎ目の部品やレールが多くなります。細かいところが多いほど、水あかや石けんのかすはたまりやすくなるものです。
とくに下側の縁は、お湯のしずくが落ちて集まる場所です。ここは布がすっと通りにくいので、掃除のときに少し手間取ります。
とはいえ折れ戸が悪い扉というわけではありません。折りたたまれて浴室の内側へ入るので、洗面所側に扉が出てきません。狭い洗面所でも使いやすいという良さがあります。
開き戸は一枚で拭きやすい
開き戸は板が一枚なので、つくりが単純で拭き掃除が楽です。平らな面を一度ふけば終わるので、折れ戸のような細かい溝がありません。
気をつけたいのは開く向きです。折れ戸も開き戸も、扉は浴室の内側へ入ります。洗面所側へ水が流れ出ないようにするためですが、開き戸は一枚の板がそのまま回るぶん、浴室の中で扉の動く場所が要ります。
浴室の中にいすや洗面器を置いている方は、扉の動く先に物が来ないかを確かめておきましょう。ショールームで実際に開け閉めしてみると分かりやすいでしょう。
引き戸は口を広く取れる
引き戸は横へ滑らせるので、扉が手前にも奥にも出ません。開けたときに通れる口を広く取れるのが持ち味で、二枚引き戸や三枚引き戸ならなおさらです。
介助が要るご家族がいらっしゃる場合や、洗濯物を抱えて出入りする場面を思い浮かべてみてください。口が広いほうがよいと感じるなら、引き戸を候補に入れる値打ちがあります。
掃除の面では、下のレールに汚れがたまります。折れ戸ほど部品は多くありませんが、まったく手がかからないわけではないと思っておいてください。
サイズと向きで選べる扉が決まる

好みが決まっても、そのとおりに付くとはかぎりません。選べる扉は、入口の大きさと扉が左右どちら側に付くかで決まります。ここは好みではなく、お住まいの寸法が決めることです。何がどこまで決まるのかをお伝えします。
折れ戸と開き戸はどこにでも付く
先に安心していただきたいところから。折れ戸と開き戸は、どの大きさでもどちら側でも取り付けられます。制限がないので、この二つで迷っている方は好みで選んで差し支えありません。
ですから「開き戸にしたいけれど、うちの浴室では無理ではないか」と心配する必要はありません。心配が要るのは引き戸のほうです。
入口の大きさは、現地調査のときに会社が測ります。ご自分で測っておく必要はありません。当日の中身はリフォームの現地調査は何を見る?にまとめました。
引き戸は選べないことがある
一方で引き戸は、入口の大きさと扉の付く側によっては選べないことがあります。横へ滑らせる以上、板が逃げていく場所が要るためです。
これは会社の都合でも手抜きでもありません。商品として用意されている寸法に収まらないというだけの話です。断られたとしても、別の会社ならできるという性質のものではないとお考えください。
付くか付かないかは、現場の寸法を見てからでないと分かりません。引き戸に心が傾いているなら、下見のときに「引き戸は付きますか」と一言たずねておきましょう。

折れ戸と開き戸はどこにでも付きます。引き戸だけ条件があります
扉だけをあとから替えられない
もう一つ知っておいていただきたいことがあります。ユニットバスの場合、基本的に扉だけをあとから別の種類に変えることはできません。浴室ぜんたいで一つの商品として作られているためです。
つまり扉を選べるのは、お風呂を入れ替えるこの機会だけということになります。あとで気が変わったら直せばよい、とは考えないでおきましょう。同じことは浴槽の形にもあてはまるので、浴槽のまたぎの高さは選べる?もあわせてご覧ください。
浴室の床だけを張り替えられないのも、同じ理由によるものです。くわしくは浴室の床が冷たいのは直せる?をご覧ください。
浴室の扉のよくある質問

ここまででお伝えできなかった細かいところを、よくいただくご質問の形でまとめました。気になる項目だけ読んでいただいてかまいません。
外から開けられるか
浴室で具合が悪くなったとき、外から開けられるかどうか。これは三つの扉のどれを選んでも変わりません。扉の種類で差が付くところではないのです。ご家族の年齢が上がるほど気になるところだと思いますが、ここは選ぶときの決め手にはなりません。
気になる方は、ショールームで実物を見ながら案内の方にたずねてみてください。商品ごとの作りを、その場で手を動かして見せてもらえます。
扉が壊れたら直せるか
扉が壊れてしまったときは、同じ商品があれば扉だけを手配して取り付け直せます。浴室ぜんたいを入れ替えることにはなりません。
ただし商品が作られなくなっていると手配できないことがあります。補修の部品は生産が終わってから一定の期間は用意されるので、まずは施工した会社に聞いてみてください。保証の考え方はリフォームの保証は何年?にまとめました。
扉の種類で工期は延びるか
延びません。扉はユニットバスの一部として、浴室ぜんたいと一緒に組み立てられます。あとから別に取り付ける部材ではないので、どれを選んでも工事の手順が増えることはないのです。
工事が延びるとすれば、扉ではなく解体してみて分かった現場の状況によるものです。そのあたりはリフォームの追加費用をご覧ください。
引き戸を断られた理由
引き戸はできませんと言われたなら、入口の大きさか、扉が左右どちら側に付くかが理由です。商品として用意されている寸法に収まらなかったのでしょう。
納得できないときは、理由をそのままたずねてかまいません。答えに困るような質問ではないので、遠慮なさらないでください。
掃除が楽なのはどれか
部品の数でいえば、折れ戸よりも開き戸や引き戸のほうが拭きやすくなります。平らな面が多いぶん、布が一度で通るためです。折れ戸は折れるところと下の部分に汚れがたまりやすく、そこだけ手間が増えます。
とはいえ扉だけで掃除の手間が決まるわけではありません。床や排水口の作りのほうが効いてきます。あわせてお風呂リフォームの選び方とリフォームの色決めはいつ?をご覧ください。
扉の希望は先に伝える

浴室の扉は折れ戸、開き戸、引き戸の三つから選べます。どれを選んでも工事の内容も日数も変わりません。変わるのは掃除の手間と、毎日の開け閉めの感じ方です。
折れ戸は部品が多くて汚れがたまりやすく、開き戸は一枚なので拭きやすくなります。どちらも扉は浴室の内側へ入ります。引き戸は口を広く取れますが、入口の大きさと扉の付く側によっては選べません。折れ戸と開き戸はどのお宅にも付きます。
そして大事なことをもう一度。各メーカーとも標準は折れ戸です。何も言わなければ折れ戸で提案が出てきます。ほかの扉がよければ、打ち合わせの早い段階でお伝えください。黙っていては出てこないという点は、リフォーム要望の伝え方と同じです。
- 扉は折れ戸と開き戸と引き戸の三つ
- どれを選んでも工事も日数も同じ
- 折れ戸は部品が多く汚れがたまる
- 折れ戸も開き戸も内側へ入る
- 引き戸は口を広く取れる
- 引き戸は選べないことがある
- 標準は折れ戸なので希望は先に伝える
そろそろ具体的に、と思い始めた方は、扉の希望を一言添えて複数の会社の提案を並べてみてください。相見積もりの取り方もあわせてご覧ください。
実物を見てから決めたいときはショールームは営業される?と予約なしでも大丈夫?が、水回りの替え時を知りたいときは築20年の水回りリフォーム時期が参考になります。


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