リフォーム会社との打ち合わせで、何をどう伝えればよいのか分からない。そう感じている方は少なくありません。専門的なことは分かりませんし、こちらの言い方がまずくて見当違いなものが出てきたら困ります。そうして迷っているうちに、つい「おまかせします」と言ってしまうのです。
先に結論をお伝えします。打ち合わせの前に用意しておくものは三つだけです。建築当初の図面、いまの不満と現状の写真、そしてざっくりの予算。この三つが先に渡っているかどうかで、返ってくる提案書はまるで別のものになります。
この記事では、住宅設備建材メーカーでハウスメーカーやリフォーム会社への商品提案と提案書づくりを担当している立場から、提案書をつくる側に何が届いているとありがたいのかをお伝えします。専門知識は要りません。渡すものを変えるだけで、同じ会社から出てくる提案が変わります。
直美さん 専門的なことが分からないので、つい「おまかせします」と言ってしまいそうです。
ナビ 三つだけ先に渡してみてください。それだけで、返ってくる提案書がぐっと具体的になりますよ。
- 何を伝えればよいか分からない
- おまかせで頼んでよいか不安
- 予算を先に言うのが怖い
- 専門用語についていけない
- 提案がずれないか心配
打ち合わせの前に用意する三つ

結論から申し上げます。打ち合わせの前にそろえておきたいのは、建築当初の図面、いまの不満と現状の写真、ざっくりの予算の三つです。この三つがあれば、初回の打ち合わせから話が具体的に動き出します。
どれも専門の知識は要りません。ご自宅にあるものと、日ごろ感じていること、そしてご家族のあいだで何となく決めてある金額の幅。それだけです。むずかしく考える必要はまったくありません。
建築当初の図面
いちばん役に立つのは、家を建てたときに受け取った図面一式です。平面図や設備図が押し入れに眠っていませんか。図面があると、壁の中や床下といった見えない部分まで分かります。
とくに大きいのが、壊してよい壁か、取ってよい柱かを見分けられるという点です。ここがあらかじめ分かっていれば、提案の中身も、あとから出てくる追加の工事も違ってきます。間取りに関わる相談なら、図面があるかないかで話の深さがまるで違ってきます。
マンションにお住まいの方も、購入されたときの平面図をお持ちのはずです。そこから寸法や配管の経路、パイプシャフトと呼ばれる縦管の位置が読み取れます。水回りの場所を動かせるかどうかを考えるとき、欠かせない手がかりになります。
いまの不満と現状の写真
次にそろえていただきたいのが、いまの使い勝手で困っているところです。不満は、感じたままの言葉で伝えるのがいちばん届きます。うまくまとめようとしなくて構いません。
収納が足りない。朝になると洗面所が混み合う。調理をしているとき、うしろを人が通れない。そうした日々の困りごとが、そのまま改善の手がかりになります。どう直すかを考えるのは、頼まれた会社の仕事です。
あわせて、いまの状態の写真を撮っておいてください。わざわざ片づける必要はありません。暮らしたままの写真のほうが、物の多さや動き方が伝わります。ご家族の人数と、だれが何時ごろ使うのかを添えられれば、なお助かります。
ざっくりの予算
三つ目が予算です。先に言うと足元を見られるのではないか。そう心配される方がとても多いのですが、伝えないほうがかえって損をします。
金額の幅が分からないと、会社は一般的な標準の提案をするしかなくなります。ご希望にぴったりの商品があったとしても、その幅に入るかどうかを判断できないためです。選択肢があるのに、出てこないという状態になります。
きっちりした金額を出す必要はありません。この辺までなら、という幅で十分です。ご家族のあいだにはすでに何となくの目安があるはずですので、それをそのまま口に出してみてください。

伝え方で提案書が変わる理由

では、なぜこの三つで提案書が変わるのでしょうか。つくる側から見ると、理由ははっきりしています。情報が足りない提案書は、無難なものになるしかないのです。
手を抜いて無難にしているわけではありません。分からない部分を埋めるには、一般的な仕様を当てはめるほかに方法がないからです。ここを知っておくと、打ち合わせでの話し方が変わってくると思います。
おまかせで出てくる提案
リフォームは、おまかせで依頼される方が実はとても多い分野です。いい感じにしてもらえたら、というご依頼ですね。おまかせそのものが悪いわけではありません。
ただ、そのときに出てくるのは、その会社が得意にしている商材での提案です。扱い慣れた商品で、いまの使い方をなるべく変えない形にまとまることが多くなります。慣れた商品ですから、納まりも価格も安定しています。
使い勝手が大きく変わると、慣れるまで使いづらく感じる方もいらっしゃいます。ですから無難にまとめること自体は、決して間違いではないのです。もの足りないと感じるかどうかは、ご希望を伝えてあるかどうかで決まります。
予算を言わないと標準提案
予算を伝えない場合も、起きることは同じです。出てくるのは一般的な標準の提案です。
標準の提案そのものは、悪いものではありません。けれども、そこにはご家庭ごとの事情が入っていません。ここにはお金をかけたい、ここは削ってよい。その濃淡がないまま、平らな内容で出てくることになります。
ざっくりでも幅が分かっていれば、会社は配分を考えられます。こちらは標準にして、そのぶんをこちらへ寄せましょう。そういう組み立てができるようになるのです。良いリフォームにつながるのは、間違いなくこちらのほうだと思います。
あとからの変更は何度も
そして、いちばん避けたいのが提案が出てきてからの変更です。ここでご希望を足すと、あとの進み方がまるで変わってしまいます。
提案書が出たあとに要望を足すと、そのたびに組み直しになります。商品が変われば金額が変わり、位置が変われば工事の中身も変わる。一度の変更が、見積書のあちこちに響きます。
何度も出し直しているあいだに時間は過ぎ、着工の時期も後ろへずれていきます。ご希望があるのなら、提案が出てくる前に必ず伝えてください。最初にまとめて渡すほうが、結局いちばん早く進みます。

会社に任せてよいところ

では反対に、こちらが用意しなくてよいものは何でしょうか。寸法を測っておく必要はありません。専門的な判断も、会社に任せてしまって大丈夫です。
伝えるのは暮らしのこと、決めるのは専門のこと。この線引きができると、打ち合わせはずいぶん気が楽になります。分からないことを分からないままにしておいても、話は進みます。
寸法は下見で測る
ご自宅の寸法を、あらかじめ測っておく必要はありません。工事に使う寸法は、下見のときに会社がきちんと測ります。メジャーを出して構える必要はないのです。
ご自身で測った数字をもとに話を進めると、かえって行き違いのもとになります。設備の寸法は、壁の下地から見るのか仕上げの面から見るのかで変わってきます。ここは任せてしまってください。
ひとつだけ例外があります。下見の前に、ざっくりした見積もりが欲しいときです。そのときは、いまお使いの設備の幅だけでも伝えておくと、おおよその金額を出してもらえることがあります。下見で何を見ているのかはリフォームの現地調査は何を見るにまとめました。
品番はこだわりがあるとき
商品の品番を調べておく必要も、ふだんはありません。ただしメーカーや商品に強いこだわりがある場合は、品番をお伝えいただいて大丈夫です。かえって話が早く進みます。
ショールームで見て気に入ったものがあれば、その場で受け取る資料に品番が載っています。それを渡すだけで通じます。資料をもらい損ねたら、現物の写真を撮っておくだけでも十分に伝わります。予約をして行くと要望に沿った案内になりますので、「リフォームのショールームは予約なしでも大丈夫?」もあわせてご覧ください。先に手元で見ておきたいときは、リフォームのカタログだけもらえる?も参考になります。
こだわりが特にないのであれば、良かった点を言葉にするほうが役に立ちます。扉の色が好みだった、引き出しが軽く開いた、手元が明るかった。そのほうが、近い条件の商品を探してもらえます。
暮らしの話をする会社
要望を伝えたら、返ってくる反応をよく見ておいてください。ご希望を聞いたうえで、リフォーム後の暮らしのイメージまで話してくれる会社が良い会社です。
商品の説明だけで終わる会社と、朝の洗面が混み合うのでしたらこういう形はいかがですかと返してくる会社。同じ要望を渡しても、返ってくるものはまるで違います。ここが、いちばん分かりやすい差です。
動線がこう変わります、ここに立つとこう見えます。そんな話ができるかどうかが見分けどころになります。会社の見分け方そのものについては、リフォーム会社の選び方にまとめてあります。
よくある質問

ここまででお伝えしきれなかった点を、ご相談の多い順に並べました。気になるところだけ拾い読みしていただいて構いません。
図面が見つからないとき
なくても話は進められますので、ご安心ください。下見のときに、分かる範囲で会社が調べます。ただし壁の中や床下のことは、解体してから分かる割合が増えます。マンションの場合は、管理組合に図面が保管されていることもありますので、一度聞いてみてください。
予算はどこまで伝えるか
ここまでなら出せる、という上限の幅で十分です。細かい内訳まで示す必要はありません。伝えたからといって、その金額いっぱいの提案が必ず出てくるわけでもありません。幅が分かって初めて、会社は配分を考えられるようになります。
要望はどこまで言えるか
思いつくかぎり、全部お伝えください。そのうえで、ゆずれないものから順に番号をつけておくと、いっそう伝わります。すべてがかなうとはかぎりませんが、優先順位が分かっていれば、削るときにどこを残すかを会社が判断できます。
おまかせで頼んでよいか
おまかせでのご依頼は珍しくありませんし、それで満足されている方もたくさんいらっしゃいます。ただ、いま困っているところだけは伝えてください。そこさえ分かれば、動線の改善までふくめた提案が出てきます。全部を決める必要はないのです。
打ち合わせに出る人
毎日その場所を使う方が出るのがいちばんです。台所なら台所に立つ方、洗面所なら朝に使う方。使っていない人だけで決めると、不満のもとが拾えません。全員そろわなくても構いませんので、使う方の声を集めてから臨んでください。打ち合わせが何回あるのかは「リフォームの打ち合わせは何回?」でお伝えしています。
まとめ

リフォームの要望を伝えるうえで大切なのは、提案が出てくる前に、まとめて渡しておくことです。建築当初の図面、いまの不満と現状の写真、ざっくりの予算。この三つが先に届いていれば、初回の提案からぐっと具体的になります。
- 用意するのは図面と写真と予算
- 図面で壊せる壁と柱が分かる
- マンションは配管の経路も読める
- 不満は感じたままの言葉で
- 写真は片づけずそのまま
- 予算はざっくりの幅でよい
- おまかせは得意な商材での提案
- 予算を言わないと標準提案
- 寸法は下見で会社が測る
- 品番はこだわりがあるときだけ
そして伝えたあとに、返ってくる言葉をよく聞いてみてください。ご希望を受け止めたうえで、リフォーム後の暮らしのイメージまで話してくれる会社が、良い会社です。商品の説明で終わるかどうかは、その場ですぐに分かります。
頼む前の段取りはリフォーム相見積もりの取り方に、届いた提案書の読み方はリフォーム見積書の見方にまとめました。費用が増える場面はリフォームの追加費用、工事のあいだの暮らしはリフォームは住みながらできる?をご覧ください。設備そのものの選び方はキッチンリフォームの選び方とお風呂リフォームの選び方もどうぞ。


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