お風呂に入るとき、浴槽のふちをまたぐのに足を高く上げている。ふだんは気にならないのに、疲れている日はふらついてひやりとする。いまはまだ平気でも、十年先に同じ動きができるだろうか。入れ替えを考え始めると、浴槽の深さよりもまず、この一歩のことが気になってくる方は少なくありません。
先にお伝えします。いまの一般的な浴槽のまたぎは40センチから45センチで、昔の浴槽より低くなっています。そしてまたぎの高さは浴槽の形で決まっています。高さだけを単品で選ぶものではないのです。
この記事は、住宅設備建材メーカーでハウスメーカーやリフォーム会社への商品提案と提案書づくりを担当している立場から書いています。何が選べて何が選べないのかを、順を追ってお伝えしていきます。
直美さん またぎの低い浴槽をお願いすれば、足を上げずに入れますか。
ナビ 高さは浴槽の形で決まります。選ぶのは高さではなく、入り方なのです。
- 浴槽をまたぐとき足を高く上げている
- 十年先に同じ動きができるか不安
- またぎの低い浴槽を選べるのか分からない
- 手すりをどこに付けるか決められない
- 浅い浴槽だと物足りない気がする
またぎの高さは40センチから45センチ

まず結論からお伝えします。いまの一般的な浴槽のまたぎは40センチから45センチです。昔の浴槽は50センチ前後あり、足をかなり高く上げる必要がありました。入れ替えるだけで、この一歩はいまより軽くなります。
いまの浴槽と昔の浴槽の差
差はおおよそ5センチから10センチです。数字で書くと小さく見えますが、毎日の動きではっきり分かる差になります。
昔の浴槽は50センチ前後ありました。立ったまま足を上げると、ひざが腰の高さに近いところまで来ます。いまの40センチから45センチなら、上げる高さが一段下がるので、体が傾く手前で足を越えられます。ふらつきやすいのは足を上げきった一瞬なので、そこが浅くなるのは大きいところです。
何年目で入れ替えを考えるかという目安は築20年の水回りリフォーム時期にまとめています。
高さを決めるのは浴槽の形
またぎの高さは浴槽の形状で決まっています。高さだけを指定して注文するものではありません。
浴槽は、深さ・底の広さ・背もたれの角度といったものが一式でひとつの形になっています。ふちの高さはその形の一部なので、気に入った形を選べば高さも決まる、という順番です。カタログで見るのは高さの数字ではなく、どの形がご自分に合うかだとお考えください。
紙で候補をしぼる段取りはリフォームのカタログだけもらえる?に、お風呂ぜんたいの選び方はお風呂リフォームの選び方に書きました。
浅くなったのは安全のため
いまの浴槽は、昔の浴槽より浅くなっています。物足りなくなったのではなく、安全に出入りしやすいように考えられた形です。
浴室は体に負担のかかりやすい場所として知られています。出入りのときにふらつく心配を減らすことは、その負担を軽くすることにつながります。深さが少し減ったぶんは、肩までお湯につかれるように底の形で工夫されているので、物足りないと感じることはあまりありません。
床の冷たさのことは浴室の床が冷たいのは直せる?にまとめました。

上げる足の高さが一段下がる、というのがこの差です
またぎやすさを決める三つ

またぎやすさは高さの数字だけでは決まりません。どんな形から入るのか、どこに手をかけられるのか、足を置いたときに滑らないのか。この三つがそろって、はじめて楽に入れる浴槽になります。どれもカタログの数字には出てこないところなので、見方を知っておくと選びやすくなります。順に見ていきましょう。
浴槽の形で変わる入り方
浴槽には、ふちに腰かけて体を回して入れる形のものもあります。足を高く上げずに入れる形です。
立ったまま足を上げて越える入り方だけが、お風呂の入り方ではありません。ふちの一部が広く平らになっていると、そこにいったん腰を下ろし、体を回しながら足を入れられます。片足で立つ時間がなくなるので、ふらつきの心配がぐっと減ります。各社それぞれに工夫があり、従来の浴槽と比べればどれもまたぎやすくなっています。
扉の開き方で変わることは浴室の扉は折れ戸と開き戸どちら?にまとめています。
またぎをささえる手すり
またぐ動きをささえるために、多くの方が手すりを付けています。あとから付け足すものという印象より、ずっと一般的なものです。
手すりには受け持ちの違う二つがあります。ひとつはまたぐときにつかまる手すりで、入口のそばの壁に付きます。もうひとつは浴槽の長い辺に沿って横向きに付ける手すりです。これは中に入ってから立ち上がるときのささえになります。またぐときと立ち上がるときでは、手をかけたい場所がまるで違うのです。
希望を先に伝えておく大切さはリフォーム要望の伝え方にまとめました。
ショールームで確かめる滑りにくさ
ショールームで見ていただきたいのは、浴槽に入るときに滑りにくいかです。ここは実物でしか分かりません。
浴槽の体験は、靴を脱いで中に入らせてもらいます。立ったまま足を上げるだけでは、底に足を置いたときの感じが分かりません。ふちに手をかけ、片足を入れ、底を踏んで体重を乗せる。この一通りを実際にやってみてください。ふちの太さが手に合うかどうかも、同時に確かめられます。
はじめての方はリフォームのショールームは営業される?とショールームは予約なしでも大丈夫?をご覧ください。会社の方と行くかどうかはショールームはリフォーム会社と一緒に行く?にあります。
先に決めておくと楽なこと

お風呂は十年以上使うものです。いま困っていないことも、先のことを少しだけ考えて決めておくと、あとから手を入れずに済みます。手すりの位置、工事で変えられないところ、壁に付けるものの選び方。この三つは入れ替えのときに決めておくほうが楽になるところです。どれもむずかしい判断ではありません。
手すりの位置は入れ替えのとき
手すりは入れ替えのときに位置まで決めておくのがおすすめです。後からでは言い出しにくくなります。
後付けの手すりも付けられますが、形が少しゴツくなる傾向があります。最初から組み込むほうがすっきり納まるのです。いま足腰に不安のない方でも、手をかける場所があると体がぶれません。お元気なうちから使いやすくなるものなので、将来のためだけと考えなくてよいところです。あとから付けるときの進め方は浴室の手すりは後から付けられる?にまとめました。
決めたことがいつまで変えられるかはリフォームは契約後に変更できる?にまとめました。
現場では高さを変えられない
ユニットバスは現場での調整ができません。据え付けてから高さを下げることはできないのです。
ユニットバスは部材があらかじめ作られていて、それを現場で組み立てます。床も壁も浴槽もひとつの組み合わせなので、置いたあとに浴槽だけ沈めるような直しはできません。だから高さの話は、商品を決める前に済ませておくことになります。据え付いてから気づくと、できることがほとんど残りません。
組み立ての中身と日数はリフォームは住みながらできる?をご覧ください。
備え付けを増やさない選び方
最近は備え付けを最低限にする選び方も増えています。掃除を楽にするための考え方です。
棚やタオル掛けが壁に固定されていると、その裏側やまわりに汚れがたまります。そこで備え付けは少なくしておき、マグネットで壁に付けられるものをあとからご自分でそろえる方が多くなりました。収納棚、タオル掛け、シャンプー入れ、シャワーのフックなどです。動かせるので、掃除のときに外せます。
色や柄を決める段取りはリフォームの色決めはいつ?に書いています。

またぐときと立ち上がるときで、手をかける場所が変わります
浴槽のまたぎのよくある質問

ここからは、またぎの高さについてよく聞かれることをまとめます。高さは選べるのか、手すりは後からでもよいのか、浅い浴槽で物足りなくならないか。どれも商品を決める前にはっきりさせておきたいところでしょう。読み終えたら、気になる形をショールームで試すだけで足ります。
またぎの高さは選べるか
高さだけを選ぶことはできません。浴槽の形を選ぶと、高さもついてきます。
とはいえ、いまの浴槽はどれも昔より低くなっています。何を選んでも、いまお使いの浴槽より足を上げずに入れるとお考えください。そのうえで入り方の楽な形を探すのが、いちばん近い道になります。
手すりは後から付けられるか
後付けもできます。ただし形が少しゴツくなる傾向があります。
入れ替えのときに決めておけば、壁の仕上がりにすっきり納まります。位置の相談も、組み立てる前なら気がねなくできるでしょう。迷っているなら、付けるかどうかではなくどこに付けるかを相談してみてください。
浅いと肩まで浸かれないか
肩まで浸かれます。浅くなったぶんは底の形で工夫されています。
背もたれの角度や底の広さが考えられているので、体を預けたときにお湯が肩まで来ます。数字の上で浅くなったことと、入ったときの物足りなさは、そのまま結びつくものではありません。ここもショールームで入って確かめられるところです。
床の高さで調整できないか
できません。ユニットバスは現場で調整するものではないからです。
洗面所との段差を変えてまたぎを下げる、という直し方は取れません。できるのは商品を選ぶ段階までなので、下見のときに足を上げにくいことを伝えておいてください。当日の中身はリフォームの現地調査は何を見る?にまとめています。
浴槽台は使ったほうがよいか
ふだんは要りません。介護の場面で使う場合があるものです。
浴槽の中に置く台や踏み台は、介助をしながら入っていただくときに役に立ちます。いまご自分で入れている方が、先回りして用意しておくものではないでしょう。まずは入り方の楽な形と手すりで、ふだんの出入りを軽くするところから考えてみてください。
またぎの高さは形で決まる

いまの一般的な浴槽のまたぎは40センチから45センチです。昔は50センチ前後あり、足をかなり高く上げる必要がありました。入れ替えるだけでこの一歩は軽くなります。そして高さは浴槽の形で決まるので、選ぶのは高さの数字ではなく、ご自分に合う入り方です。
浅くなったのは安全のためで、肩まで浸かれるように底の形が工夫されています。ふちに腰かけて体を回して入れる形もありますし、手すりは多くの方が付けています。またぐときの手すりと、中から立ち上がるときの手すりは別のものなので、両方を思い浮かべて位置を相談してください。
ユニットバスは現場で高さを直せません。だから手すりも備え付けの数も、入れ替えるときに決めておくのがいちばん楽です。あとはショールームで靴を脱いで入り、底を踏んで滑りにくさを確かめれば十分でしょう。
- いまのまたぎは40センチから45センチ
- 昔は50センチ前後あった
- 高さは浴槽の形で決まる
- 浅くなったのは安全のため
- 肩まで浸かれるよう底で工夫
- 腰かけて体を回して入れる形もある
- 手すりは多くの方が付けている
- またぐ用と立ち上がる用で位置が違う
- 現場では高さを調整できない
- 備え付けを減らして掃除を楽にできる
そろそろ具体的に、と思い始めた方は、何社かのお見積もりを並べる段にすすみます。頼み方はリフォーム相見積もりの取り方に、費用のことはリフォームの見積もりは無料?にまとめました。
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