お風呂やキッチンを直したいけれど、そもそもどこに頼めばいいのか分からない。地元の工務店、ハウスメーカー、家電の量販店、ホームセンター。看板はいくつも思い浮かぶのに、何がどう違うのかが見えてこない。そんなところで足が止まっている方は、少なくないと思います。
先に結論をお伝えします。頼み先によって変わるのは、現場を管理する人、選べる商品の幅、そして引き渡し後の窓口。この三つだけです。どこが安いかという話ではありませんし、業態に良い悪いの順番もありません。
この記事では、住宅設備建材メーカーでハウスメーカーやリフォーム会社への商品提案と提案書づくりを担当している立場から、頼み先ごとに何が変わるのかをお伝えします。どの業態にも商品を納めている側から見た、仕組みの話です。
直美さん 工務店とホームセンター、どちらに頼むのが正解なんでしょうか。
ナビ 正解はないんです。ただ、頼み先で変わることが三つだけあります。そこを押さえれば迷いません。
- 頼み先の候補が多すぎる
- 業態ごとの違いが分からない
- 標準仕様しか選べないのか不安
- 好きなメーカーを頼めるか心配
- 保証の違いが比べられない
頼み先で変わる三つのこと

頼み先を比べるとき、つい料金の話から入りたくなります。けれども業態によって構造的に違うのは、料金ではなく仕組みのほうです。ここを先に押さえておくと、見積書を並べたときの見方まで変わってきます。なお、頼み先は自分から探すのが基本です。その理由はリフォームの飛び込み営業は出なくていい?にまとめました。
変わるのは三つです。現場を管理する人、選べる商品の幅、そして引き渡し後の窓口。どれも契約の前に聞けば答えてもらえることですから、遠慮なく確かめてください。一つずつ順にご説明します。
現場を管理する人
一つめは、工事のあいだ現場を仕切るのがどこの会社かという点です。契約する相手と、実際に現場へ入る会社が別になることがあります。これは珍しいことではなく、ごく普通の形です。
量販店やホームセンターに頼んだ場合、施工は提携している工事店が受け持ちます。契約上の責任は頼んだ先が負いますが、日々の段取りを組んで現場を動かすのは工事店のほうになります。
悪い仕組みではありません。専門の工事店が入るからこそ、きれいに仕上がる工事もあります。ただ、困ったときにどちらへ電話すればよいのかは先に確かめたいところ。現場に来るのはどこの会社か、連絡はどちらへするのか。この二つを聞いておけば十分です。
選べる商品の幅
二つめは、選べる商品の幅です。会社によって、扱えるメーカーの数は本当に違います。系列の商材だけを扱っている会社もありますし、幅広く扱っている会社もあります。
では、好きなメーカーがあっても頼めないのでしょうか。そこは心配いりません。希望のメーカーがあれば、大抵の会社は取り扱うことができます。多くの会社は、いろいろなメーカーの販売網を持っているからです。
ただし一つ、知っておいてほしいことがあります。ふだん使っていないメーカーは仕入れが高くなるため、お客様への金額も上がります。扱えないのではなく、金額に差が出るという話です。
引き渡し後の窓口
三つめは、工事が終わったあとの窓口です。設備そのものには、どこに頼んでもメーカーの保証がつきます。ここは頼み先によって変わることはありません。まず、その土台があると思ってください。
そのうえで、工務店やハウスメーカーが独自に保証期間を設けている場合があります。メーカーの保証に、その会社の保証が重なる形です。年数も中身も会社ごとに違いますから、書面で見せてもらうのがいちばん確かです。
窓口の作りにも差があります。アフターの専門部署を置いているハウスメーカーもありますし、担当者がそのまま受け持つ会社もあります。保証の見方はリフォーム会社の選び方とリフォームの保証は何年?にもまとめました。
標準仕様が絞られている理由

打ち合わせで標準仕様はこちらですと言われて、選べる範囲が狭いと感じたことはないでしょうか。これは手を抜いているのではなく、仕入れの仕組みからそうなっています。
中身が分かると、標準仕様の受け取り方が変わってきます。なぜ絞られているのか、そのかわりに何を得ているのか、そして標準を越えて選びたいときはどうなるのか。順にお伝えしていきます。
メーカーと提携した商品
大手のハウスメーカーや大手の工務店は、メーカーと提携して標準採用の商品を決めています。あらかじめ決めておいた商品を、まとまった数で納めるという形です。
さらに進んで、その会社のためにオリジナルで作られている商品もあります。カタログに載っていない品番が出てくるのは、このためです。見たことのない名前でも、怪しいものではありません。そのカタログ自体をご自分で取り寄せる方法は、リフォームのカタログだけもらえる?にまとめました。
提携して数をまとめるからこそ、条件が整います。会社にとってもお客様にとっても、意味のある仕組みです。ただ、その裏側として、選べるラインナップはメーカーの品ぞろえより絞られます。
絞られるかわりの価格メリット
絞られるかわりに何を得ているのでしょうか。標準採用の商品は、価格の面で有利になる仕組みになっています。同じものをまとめて納めるので、条件が整うのです。
ですから、標準仕様の中に気に入るものがあれば、それを選ぶのがいちばん得をします。担当者が標準の商品を勧めてくるのも、お客様にとってのメリットがあるからというのが理由です。
売りたいから勧めている、と身構えなくて大丈夫です。会社として納めやすい商品ではありますが、それはお客様の金額が落ち着くことと裏表になっています。まずは標準の中身を見せてもらってください。
標準を越えて選ぶとき
標準の中に欲しいものがないときはどうするか。標準の範囲を越えてオプションで選べる会社もあります。すべての会社がそうではありませんので、できるかどうかを最初に聞いてみるとよいと思います。
このとき効いてくるのが、さきほどの仕入れの話です。その会社がふだん使っていないメーカーを選ぶと、金額は上がりやすくなります。扱えないわけではなく、条件が変わるということです。
だからといって、希望を引っ込める必要はまったくありません。言うのを遠慮するのではなく、伝える先を選ぶ。そう考えてください。要望そのものの伝え方はリフォーム要望の伝え方にまとめています。

工事の内容で決める頼み先

三つの違いが分かったところで、では自分はどこに頼めばよいのか。ここは工事の内容によって、重く見る軸が変わります。どの業態が正解という答えは、やはりありません。
設備を入れ替えるだけなのか、壁や間取りまで動かすのか、それとも選びたい商品が決まっているのか。この三つの場面で、見るところが入れ替わります。ご自分がどれに近いか思い浮かべながら読んでみてください。
設備の入れ替えだけのとき
お風呂やキッチンを、いまと同じ場所で入れ替えるだけの工事。この場合は、選べる商品の幅と、引き渡し後の窓口を重く見てください。壁や柱を動かさないので、工事の中身は比べやすいのです。
見たい設備が決まっているなら、その商品を扱っている会社をいくつか当たるのが早道です。同じ商品で並べれば、工事の費用のところだけを見比べられます。並べ方はリフォーム相見積もりの取り方にまとめました。
設備そのものの選び方が気になる方は、お風呂リフォームの選び方とキッチンリフォームの選び方もご覧ください。入れ替える時期で迷っているなら築20年の水回りリフォーム時期もどうぞ。
壁や間取りを動かすとき
壁を抜いてキッチンを対面にしたい、部屋をつなげたい。こうなると見るところが変わります。現場を管理する人が、建物の構造を読めるかどうか。ここがいちばん大事になります。
抜いてよい壁なのか、動かせない柱なのか。それは図面と現場を見て判断することです。構造を読める人が現場にいるかどうかで、出てくる提案の幅がまるで変わってきます。
ですからこの工事では、現場に来るのはどこの会社かという問いがとりわけ効いてきます。壁を動かす話は壁付けキッチンを対面にできる?で詳しくお伝えしました。工事中の暮らしはリフォームは住みながらできる?もどうぞ。
選びたいメーカーがあるとき
ショールームで見て、このメーカーがいいと決まっているとき。さきほどお伝えしたように、大抵の会社は取り扱うことができます。まずは扱えるかどうかを聞いてみてください。ショールームへ行く前の段取りは「リフォームのショールームは予約なしでも大丈夫?」にまとめています。
そのうえで、もう一歩ふみ込んで尋ねてみましょう。そのメーカーをふだんからよく使っているか。よく使っている会社なら、同じ希望でも金額が落ち着きやすくなります。
ふだん扱っているかどうかは、施工の写真を見せてもらえば分かります。標準採用の商品を尋ねるのも早いやり方です。商品を先に見ておきたい方はリフォームのショールームは営業される?をご覧ください。

リフォームの頼み先によくある質問

ここまででお伝えしきれなかった点を、ご相談の多い順に並べました。気になるところだけ拾い読みしていただいて構いません。
メーカーに直接頼めるか
残念ながら、できません。メーカーには、お客様へ直接お売りするルートがありません。商品はメーカーから代理店や販売店などの流通を通り、工務店やリフォーム店の手を経てお宅へ届く仕組みです。ショールームで契約ができないのも、同じ理由からです。
量販店やホームセンターはどうか
頼んで構いません。ただ、施工は提携している工事店が受け持つのが基本の形だと知っておいてください。契約の相手は量販店やホームセンターですが、現場を動かすのは工事店です。現場に来る会社の名前と、困ったときの連絡先を先に確かめておけば安心できます。
オリジナル商品でも部品は出るか
大丈夫です。オリジナルと言っても大抵はメーカーの商品に別の品番をつけて設定しているだけなので、部品の事情はメーカー品と同じです。まったくのオリジナル商品でも10年の部品保有期間があります。この10年は、生産が終わったときから数えます。
標準仕様から選ぶと損か
損ではありません。むしろ標準採用の商品は、価格の面で有利になるよう組まれています。選べる幅は狭くなりますが、そのかわりに条件が整っているという関係です。中身を見てから、足りないところだけオプションで足す進め方がいちばん無理がないと思います。
保証は頼み先で違うか
設備のメーカー保証は、どこに頼んでも同じようにつきます。違いが出るのは、会社が独自に設けている保証のほうです。年数も中身も会社ごとに違いますし、アフターの専門部署を置いている会社もあります。口約束ではなく、書面で見せてもらってください。
まとめ

どこに頼むのが正解か、という問いに一つの答えはありません。ただ、頼み先で変わるのは三つだけだと分かれば、比べ方が見えてきます。現場を管理する人、選べる商品の幅、引き渡し後の窓口です。
- 頼み先で変わるのは三つだけ
- 契約相手と現場の会社は別のこともある
- 現場に来る会社名を先に聞く
- 困ったときの連絡先を確かめる
- 扱えるメーカー数は会社ごとに違う
- 希望のメーカーは大抵頼める
- ふだん使わないメーカーは金額が上がる
- 標準仕様は仕入れの仕組みで絞られる
- 標準採用品は価格の面で有利
- 標準を越えて選べる会社もある
- オリジナル品も部品の事情は同等
- メーカー保証に会社の保証が重なる
そして、いちばんお伝えしたいのはここです。希望を言うのを遠慮するのではなく、伝える先を選ぶ。そう考えていただければ、頼み先選びは怖いものではなくなります。そろそろ具体的に、と思い始めた方は、まず何社かの話を聞いてみてください。
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