お断りしたはずなのに、またあの会社から電話が鳴る。留守番電話にメッセージが残り、数日たつとメールも届く。そのたびに胸がざわついて、画面に出た番号を見ては取らずに置いてしまう。断り方が悪かったのだろうか、もっと強く言わないと止まらないのだろうか。そんなふうに、ご自分を責めてしまう方は少なくありません。
先に結論をお伝えします。連絡が続くのは、断り方が弱かったからではありません。相手の会社の中で、その話がまだ終わった案件になっていない。ほとんどの場合、それだけのことです。
この記事は、住宅設備建材メーカーでハウスメーカーやリフォーム会社への商品提案と提案書づくりを担当している立場から書いています。お客様へ連絡を入れる側ではありませんが、その連絡のもとになる案件が会社の中でどう扱われているかは、いつも見ているところです。
直美さん 断ったつもりなんです。それなのに、まだ電話がかかってくるんです。
ナビ そのお気持ちが、相手の社内まで届いていないのだと思います。止める言葉は一つだけですよ。
- 断ったのに連絡が続く
- 着信を見るだけで気が重い
- 強く言うのは気が引ける
- 理由を聞かれるのが怖い
- 情報が回らないか不安
連絡が来るのは案件が閉じていないから

はじめに、連絡が続く仕組みからお話しします。ここが分かると、同じ着信でも見え方がまるごと変わります。追いかけてくる連絡は、気持ちの問題ではなく記録の問題だからです。
リフォーム会社の中では、お客様とのお話が一件ずつ記録として残っています。いま進めているのか、まだ先の話なのか、それとも終わったのか。どの状態に置かれているかで、担当者の動き方が決まります。
ですから、状態が変わらないかぎり連絡は止まりません。言葉を強くしても、着信を無視しても、記録のほうが書き換わらなければ結果は同じです。断ったのに来るのではなく、閉じていないから来ている。この順番で考えると、やるべきことが一つに絞れます。頼んでいないのに訪ねてくる会社への向き合い方は、リフォームの飛び込み営業は出なくていい?をご覧ください。
見積もりを出した時点で案件になる
お客様にお見積もりやご提案をお出しすると、その話はいま進めている案件として扱われます。社内で名前の付いた一件になり、どこまで進んだのかを折にふれて確かめる対象になります。
私のところにも、リフォーム店さんから商品のご提案の依頼が届きます。その一件は、決まりませんでしたという確認が取れて、はじめて終わった案件になります。確認が取れないかぎり、どこかに残り続ける形です。
つまり、閉じるためには誰かがはっきり伝える必要があるということになります。お客様の中ではとっくに終わっていても、それだけでは記録は動いてくれません。
検討しますは継続中として残る
断りにくいときに出てくるのが、検討しますという一言です。角が立たない、やさしい言葉だと思います。ところがこの一言は、社内では継続中という意味で受け取られます。
終わった案件ではなく、長く様子を見る案件として残るということです。いますぐではないけれど、いつか動くかもしれないお客様。そういう置かれ方になります。
残っているかぎり、担当者の手元にあるお客様の一覧からは消えません。季節の変わり目や新しい商品が出たときに、思い出したように連絡が入ります。断ったつもりの側から見れば、しつこいとしか感じられない動きでしょう。
悪意ではなく仕組み
ここを誤解したままだと、相手が怖い人に見えてしまいます。連絡の多くは、嫌がらせでも押し売りでもありません。見込みのあるお客様として一覧に残っているから、順番が回ってくるだけです。
もちろん、度を越えたものは別に考える必要があります。それについては後ろで触れます。ただ、ほとんどの連絡は仕組みが動いているだけなので、止めるのに強い言葉はいりません。要るのは、記録を閉じられる一言のほうです。相手を悪者だと思い込んでしまうと、かえって声をかけにくくなります。順番が回ってきているだけだと分かれば、こちらも身構えずに済みます。

連絡が止まる伝え方

では、どう伝えれば終わるのでしょうか。むずかしい言い回しは一つもいりません。結論を言い切る。たったそれだけです。
大事なのは文の長さではなく、受け取った担当者がその場で記録を閉じられるかどうかになります。決まりませんでしたと社内に戻せる形になっていれば、役目は果たせています。
逆に言えば、どれだけ丁寧でも、結論のあいまいな文はいつまでも閉じられません。やさしさのつもりで選んだ言葉が、お互いの時間を延ばしてしまうこともあるのです。はっきり言うことは、冷たくすることとは違います。むしろ相手の手間をそこで止めてあげる行いだと考えてみてください。
決まりましたと言い切る
使う言葉は一文で足ります。ほかの会社に決めました。ありがとうございました。これだけで記録は閉じられます。
まだどこにも決めていないのなら、今回は見送りますと言い切ってください。考え中ですとも、またこちらからご連絡しますとも言わない。続きがあると読める言葉を残さないのが要点です。
電話が苦手な方は、メールでも差し支えありません。文字で残るぶん、言った言わないにもなりません。そのまま使える言い回しはしつこい営業を断る言い方7選に並べています。やりとりをはじめからメールだけにしたい方は、リフォームの連絡はメールだけで済む?もあわせてご覧ください。
伝えるのは担当者でよい
どこへ言えばよいのか迷う方がいます。ふだんやりとりしている担当者で十分です。その担当者こそが、社内の記録を動かす人だからです。
会社の代表番号や問い合わせ先をわざわざ探す必要はありません。回り道をすると、かえって伝わるまでに日数がかかってしまいます。
理由は聞かれたときだけ答える
お断りすると、どちらに決まりましたか、なぜそちらにされましたかと聞かれることがあります。身構えてしまう場面だと思います。けれどこれは、引き止めるための質問ではないことがほとんどです。
次のお客様へのご提案のために、自分たちが選ばれなかった理由を知っておきたい。担当者がこの先の指標として持ち帰りたい。一生懸命にご提案していたからこその確認です。差し支えなければ、素直にお答えいただけるとうれしく思います。
ただし、聞かれてもいないのに、こちらから理由を並べる必要はありません。説明が長くなるほど、そこに返事が付いてやりとりが続きます。伝えるかどうかの線引きは相見積もりと伝えると嫌がられる?でも触れました。

断ったあとに残る心配

伝え方が分かっても、まだ気がかりが残ると思います。自分の情報が、ほかの会社へ回ってしまわないか。ここを心配される方はとても多いです。
結論から申し上げると、その心配はいりません。お名前やご住所、お困りごとといった情報は、勝手に外へ出ていく種類のものではないからです。
ここからは、断ったあとに残りやすい不安を順に見ていきます。どれも、知らないままだと問い合わせそのものをためらう理由になってしまうものばかりです。最後に、度を越えた営業に当たってしまったときの話も添えておきます。
情報が勝手に回ることはない
ショールームで書いたアンケートはどうなるのか。これもよくいただくご質問です。ショールームのお客様情報が、勝手にほかの会社へ回ることはありません。
メーカー各社とも、お客様の情報の取り扱いには十分に気を配っています。アンケートに書いたせいで知らない会社から電話が来る、ということは起きません。ショールームの使い方はリフォームのショールームは営業される?にまとめました。書く欄をご自分で選んでよいことは「ショールームのアンケートは書かないとだめ?」でお伝えしています。
ですから、断るときに情報を消してもらう手続きまで考えなくて大丈夫です。お見積もりが要らなくなったとお伝えいただければ、それで足ります。
一括見積もりサイトからの連絡
一括見積もりのサービスを使った場合も、考え方は変わりません。お客様が選んでご希望された会社のほかに、情報が伝わることはありません。
知らない会社から次々に電話が来るのではないか。その不安で使えずにいる方がいます。選んだ先だけに届く仕組みだと分かれば、気持ちはずいぶん軽くなるはずです。それでも心配なら、連絡の手段をメールにしてほしいと最初に添えておく手もあります。
度を越えた営業だと感じたら
ここまで書いてきたのは、ふつうの会社のふつうの動きです。はっきり断ったあとも連絡がやまない場合は、別に考えてください。
そのときは、担当者ではなく会社へ伝えて構いません。会社として受け止めるべきことだからです。法律で定められた決まりや、公的な相談の窓口もあります。くわしくはしつこい営業を断る言い方7選に書きました。
我慢して付き合い続ける必要は、どこにもありません。気が重いと感じた時点で、相手を選び直してよいのです。会社の見分け方はリフォーム会社の選び方をどうぞ。
断ったあとの連絡によくある質問

ここからは、断ったあとの連絡についてよくいただくご質問にお答えします。どうしてよいか迷いやすいものを選びました。気になる項目から読んでいただければと思います。
連絡はいつまで続くのか
決まりませんでしたと伝わっていれば、そこで止まります。やまないのは、終わった案件になっていないときです。あいまいな返事のままになっていないか、思い返してみてください。
電話に出ないのは有効か
あまりおすすめできません。出ないかぎり、担当者には確かめようがないからです。つながらない相手は、まだ結論の出ていないお客様として残ります。一度だけ出て言い切るほうが、結局は早く終わります。
メールだけで断ってよいか
構いません。文字で残るので、むしろ確実だと言えます。ほかに決めました、の一文があれば十分に伝わります。長い文面をこしらえる必要はありませんし、お詫びの言葉を重ねなくても大丈夫です。
担当者が代わって連絡が来た
前の担当者に伝えたことが、引き継がれていないのかもしれません。同じ一文をもう一度お伝えください。言い直すのは、少しも失礼には当たりません。こちらから担当の方を替えていただく申し出もできますので、リフォームの担当者は変えてもらえる?伝え方と時期もご覧ください。
一社だけ断るのは失礼か
失礼ではありません。早く分かるほど、相手は次のお客様へ時間を回せます。お断りの連絡も礼儀のうちだとお考えください。黙って終わらせるほうが、かえって相手を長く待たせてしまいます。進め方はリフォーム相見積もりの取り方にあります。
まとめ

断ったあとも連絡が来るのは、あなたの断り方が悪かったからではありませんでした。相手の会社の中で、その案件がまだ閉じていないだけです。閉じる言葉は一文で足ります。強く言う必要も、理由を並べる必要もありません。
- 連絡が続くのは記録が閉じていないから
- 見積もりを出すと進めている案件になる
- 閉じるには誰かが伝える必要がある
- 検討しますは継続中として残る
- 長く様子を見る案件になり連絡が続く
- 多くの連絡は悪意ではなく仕組み
- 止める言葉はほかに決めましたの一文
- 決めていないなら今回は見送ります
- 伝える相手はふだんの担当者でよい
- 理由は聞かれたときだけ答える
- 失注の確認は手を抜かなかった証拠
- ショールームの情報は勝手に回らない
- 一括見積もりも選んだ会社だけに届く
- 度を越えた営業は会社へ伝えてよい
仕組みが分かってしまえば、着信は怖いものではなくなります。一文で言い切って、そこで終わりにする。それだけです。断ることへの気後れがほどけたら、あらためて何社かに声をかけるところから始めてみてください。
要望の伝え方はリフォーム要望の伝え方、頼み先ごとの違いはリフォームはどこに頼む?にまとめています。見積書そのものの読み方はリフォーム見積書の見方、提案書の見るところはリフォームの提案書はどこを見る?、契約したあとの変更が気になる方はリフォームは契約後に変更できる?もあわせてどうぞ。


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