冬の夜、お風呂のドアを開けて一歩入った瞬間のあの冷たさ。思わず足を浮かせて、つま先立ちのままお湯を出しに行く。築年数の経ったお宅では、これが毎年の冬の風景になっています。家族の誰かが入ったあとなら少しましですが、一番風呂はどうにもなりません。何とかならないものか、と検索された方も多いはずです。
先に、いちばん知りたいところをお答えします。床だけを張り替えて冷たさをなくす、という方法は残念ながらありません。そのかわり、浴室ごと入れ替えればこの悩みはほとんど消えます。
この記事は、住宅設備建材メーカーでハウスメーカーやリフォーム会社への商品提案と提案書づくりを担当している立場から書いています。できることとできないことを、はっきり分けてお伝えするつもりです。
直美さん 床の冷たさだけが嫌なんです。床だけ新しくしてもらうことはできないんでしょうか。
ナビ 正直に申し上げると、床だけというのはできないのです。ただ、入れ替えれば冷たさはかなり解消しますよ。
- 冬の一歩目がとにかくつらい
- 床だけ替えられないか知りたい
- 浴室マットの出し入れが面倒
- 家族の入浴中の体が心配
- 大がかりな工事は気が重い
床だけの張り替えはできない

検索すると、床だけ何とかする方法がいくつも出てきます。それを読んでから、では実際に頼もうとリフォーム会社に相談して、話がかみ合わなかった。そういう経験をされた方がいらっしゃるかもしれません。
ここは濁さずに書きます。いま入っているユニットバスの床だけを、後から張り替えることはできません。期待を持たせる書き方はしないほうが、結局は時間の節約になるはずです。
ユニットバスの床は張り替えられない
ユニットバスという名前のとおり、この商品は床・壁・天井・浴槽がひとそろいで組み上がっています。床は上に敷いてあるのではなく、浴室の底そのものとして最初に据えられる部分なのです。
ですから、床を外すということは、その上に立っている壁も浴槽も一度どける話になります。床だけを抜き取って新しい床を差し込む、という作りにはなっていません。カーペットを張り替えるような感覚とは、まったく別のものだとお考えください。
では何ができるのかというと、浴室ごと新しいユニットバスに入れ替えることです。遠回りに聞こえるでしょうか。実のところ、床の冷たさを本当になくしたいなら、これがいちばん確かな道になります。
タイル張りは壊してからの工事
お住まいが古いお宅ですと、ユニットバスではなくタイル張りの浴室ということもあります。足元が一面のタイルで、冬の冷たさがとりわけこたえるのがこちらです。タイルは水を弾いてくれる反面、冷えをそのまま足の裏に伝えてしまいます。
この場合も、タイルの上に何かを足して終わり、とはなりません。床も壁も浴槽もすべて壊し、タイルをはがしてから、ユニットバスに入れ替える工事になります。解体の分だけ日数もかかります。
大ごとに聞こえるかもしれません。ただ、タイルの浴室にお住まいの方ほど、入れ替えたあとの変わりようは大きいものです。工事の進み方そのものはリフォームは住みながらできる?にまとめてありますので、日数の見当をつけたい方はそちらもどうぞ。
できないと分かれば迷いが減る
できないと聞くと、がっかりされるかもしれません。それでも最初にお伝えするのには理由があります。選択肢がひとつに絞られると、悩む時間がなくなるからです。
床だけで済ませられないか、という方向に時間を使ってしまうと、肝心の中身を考える時間が削られます。どんな浴室にしたいのか、いつごろ工事をしたいのか。考えるべきはそちらのほうでしょう。またぎやすさもそのひとつで、くわしくは浴槽のまたぎの高さは選べる?にまとめました。
相談に行かれるときも、床だけ替えたいと切り出すより、冬の一歩目が冷たくてつらい、とそのままお伝えするほうが伝わります。希望の渡し方はリフォーム要望の伝え方に書きました。

入れ替えれば冷たさは解消する

ここからは明るい話になります。昔のユニットバスと、いま売られているユニットバスでは、足元の感じがはっきり違います。入れ替えたお客様がまず口にされるのが、この床の話なのです。入れ替えるときは扉も選び直せますので、浴室の扉は折れ戸と開き戸どちら?もあわせてご覧ください。
理由ははっきりしています。浴室が寒いというお声を各社が受けて、断熱を商品の性能として組み込んできたという流れがあるからです。
いまの床には断熱が入っている
浴室が寒い、というのは長らく各社に寄せられてきたご指摘でした。そこへ応えるかたちで、いまの商品には断熱の性能がしっかりと入っています。壁や天井だけでなく、床にもです。
その結果どうなるかというと、浴室に入ったときのヒヤッとした感じがなくなります。暖房を入れて暖めるのとは違い、何もしていなくても足が冷たくならないのがこの断熱のありがたいところです。
窓から冷えが入ってくるお宅もあります。床と窓は別々の話に見えて、浴室の寒さという一点ではつながっているものです。窓側の考え方は内窓で寒さは変わる?にまとめてあります。
ヒヤッとしないことが安全につながる
床の冷たさは、不快だというだけの話ではありません。浴室は体に負担のかかりやすい場所として知られています。急に冷たいところへ入ること自体が、体にとってはひとつの負担です。
医学の話を断定するつもりはありません。ただ、入った瞬間に冷たさを感じない浴室にしておくことは、その危険を減らすことにつながります。設備をつくる側として、そこは胸を張ってお伝えできる部分です。
ご高齢のご家族がいらっしゃるお宅では、ここを決め手にされる方もいらっしゃいます。ご自分のためというより、親御さんのために、という動機です。築20年の水回りリフォーム時期で書いた替え時の考え方とも、重なるところがあります。
工事は最短で1日から2日
浴室ごと入れ替えると聞くと、何週間もかかる大工事を思い浮かべるかもしれません。実際には、ユニットバスの入れ替えだけなら1日か2日で終わる工事です。
洗面所の床や壁まで一緒に手を入れると5日ほど、タイル張りの浴室からですと5日ほどが目安です。壊す手間がある分、日数が変わってくるわけですね。工事のあいだはお風呂が使えませんから、近くの銭湯を調べておくか、ご実家で借りるかを先に決めておくと気が楽になります。洗面台にも手を入れるなら、洗面台の高さも一緒に見ておくとよいですね。
ここで気をつけていただきたいのは、この日数に商品を待つ期間は入っていないということです。工期というのは解体から仕上げまでの、実際に工事をしている期間を指します。商品の納期は別に見ておいてください。
もっと暖かくしたいときの選び方

断熱で冷たさは解消しますが、さらに暖かくしたいという方もいらっしゃいます。ここでよく混ざってしまうのが、浴室暖房と床暖房です。名前は似ていても、効くところが違います。
先に結論を申し上げます。床の冷たさにしぼって考えるなら、床暖房のほうが効果は大きいです。どちらを選ぶかは、何を気にしているかで決まります。
浴室暖房は空気を暖めるもの
浴室暖房、正しくは暖房換気乾燥機と呼ばれる機器は、天井に付いて浴室の空気を暖めるものです。入る前にスイッチを入れておけば、部屋そのものがぬるくなっています。
空気が暖まれば、床も多少は変わります。ただ、暖かい空気は上にたまりますから、足元まではなかなか届きません。体に当たる空気は暖かいのに、足だけ冷たいということが起こりうるのです。
もちろん、この機器には洗濯物を乾かすという役目もあります。梅雨の時期に重宝しますから、冷たさ対策という一点だけで良し悪しを決めないでください。干す場所そのものの選び方は洗面所に室内物干しは付けられる?にまとめました。
床の冷たさなら床暖房が効く
いっぽうの床暖房は、名前のとおり床そのものを暖めます。冷たいと感じている場所を直接あたためるわけですから、効き方がまるで違います。
一歩目のヒヤッとが何より嫌だ、というご相談でしたら、迷わずこちらをおすすめします。断熱の入った床の上に、さらに暖かさが乗る形になるからです。
どちらか一方しか選べないわけでもありません。両方入れることもできますので、気になっているのは空気なのか床なのかを、ご自分の中ではっきりさせてから相談されるとよいでしょう。
床暖房を選べる商品はかぎられる
ここで、大事なことをひとつお伝えしておきます。床暖房はどのユニットバスにも付けられるわけではありません。オプションとして用意されている商品のラインナップから選ぶ必要があります。
つまり、商品を決めてから床暖房を足す、という順番ではうまくいかないことがあるのです。床暖房が欲しいなら、商品を選ぶ前にそう伝えてください。そうすれば、付けられる商品の中からご提案することになります。
後から足せると思い込んでいると、話が進んでから戻ることになります。あとで金額が動く場面についてはリフォームの追加費用にまとめました。先に伝えておく、が結局いちばん早い道です。

浴室の床のよくある質問

ここからは、打ち合わせの場でよくいただくご質問にお答えします。聞いてよいものか迷われる方が多いものばかりです。遠慮はいりませんので、気になる項目から読んでいただければと思います。
床だけ張り替える方法はないのか
ユニットバスの床だけを後から張り替えることはできません。床は商品の一部として組み上がっているからです。冷たさをなくしたいのであれば、浴室ごとの入れ替えをご検討ください。
床暖房はどの商品でも付くのか
付けられるのは、床暖房のオプションがある商品だけです。すべてのユニットバスで選べるものではありませんので、希望があるなら最初の相談のときにお伝えください。
床の色で冷たさは変わるのか
冷たさは色では変わりません。ついでに申し上げると、黒い床には白い汚れ、白い床にはピンクの汚れが目立ちます。色を変えても掃除の手間は減らない、とお考えいただくほうが近いです。
ショールームで床を確かめられるか
確かめられます。お風呂の展示は靴を脱いで中に入っていただけますので、足の裏で直接ふれてみてください。ショールームの歩き方はリフォームのショールームは営業される?をどうぞ。
タイルの浴室からは何日かかるか
5日ほどが目安になります。タイルをはがす手間がある分、日数が延びるとお考えください。ユニットバスからの入れ替えが1日か2日ですから、そのぶんの差です。
まとめ

浴室の床の冷たさは、床だけをどうにかして解決するものではありませんでした。入れ替えれば、断熱の入った床でヒヤッとはなくなります。毎年の冬のつらさを思えば、考えてみる値打ちはあるはずです。
- ユニットバスの床だけは替えられない
- 床は商品の一部として組み上がる
- タイルは壊してからの入れ替え
- いまの商品は床にも断熱が入る
- 入った瞬間のヒヤッとがなくなる
- 冷たくないことは安全にもつながる
- 入れ替えは最短で1日から2日
- 工期に商品の納期は含まれない
- 浴室暖房は空気を暖めるもの
- 床の冷たさなら床暖房が効く
- 床暖房を選べる商品はかぎられる
- 希望は商品を決める前に伝える
- ショールームで足の裏で確かめる
同じ浴室を入れるのでも、会社によって提案の中身は変わります。床暖房のように、言わなければ出てこないものがあるからです。そろそろ具体的に、と思い始めた方は、何社か話を聞くところから始めてみてください。
浴室そのものの選び方はお風呂リフォームの選び方、会社の見分け方はリフォーム会社の選び方にまとめています。見積書の読み方はリフォーム見積書の見方、頼み先で何が変わるかはリフォームはどこに頼む?もあわせてどうぞ。


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